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お世話になっているライターの古田靖さんが編集長を務める、電子雑誌「トルタル」の3号がリリースされました。今号も自分は何も書いていないうえ、何もお手伝いできていないというていたらくなのですが、無料ですので、是非皆様ご覧下さい。
http://kanakanabooks.com/?p=364

iPhone/iPad/iPod touchの方はiBooks、AndroidスマホはHimawari Reader、Winパソコン・MacはReadiumで読むのがオススメです。kobo Touchでもだいたい読むことができます(動画以外)。よく分からないやという方は、こちらのガイドを参照してください。

 

さて、電子雑誌を紹介しておきながらなんですが、僕は電子書籍というものの将来性に対して、甚だしく疑念を抱いています。あるいは、希望を見いだせないという表現のほうが適切でしょうか。実は、そんな思いがより深まったきっかけが、この「トルタル」でした。

「トルタル」はEPUB(イーパブ)というフォーマットで作られています。前述したとおり、電子書籍のフォーマットとしては実に汎用性が高い形式です。アプリやソフトのダウンロードが必要ではあるものの、現在普及しているPC、スマートフォン、タブレット、電子書籍端末に概ね対応しているといえるでしょう。

システム的にはHTMLやCSSといった、通常はWebブラウザで閲覧データをまとめて圧縮し、パッケージ化したような形のものです。しかし、ブラウザで直接見ることはできません。専用のソフトやアプリが必要です。僕はchromeにReadiumというアドオンを入れて見ていますが、率直に言って不便なこと極まりありません。

まず対応ブラウザの問題。僕のメインブラウザはOperaですが、EPUBにまともに対応する方法は今のところありません。そしてしぶしぶchromeを立ち上げると、今度は時間的な問題が。EPUBをダウンロードするのに十数秒(「トルタル」は約6MBです)。そこからさらに、ブラウザにファイルを読み込むのに数十秒かかります。

 

そんな手間の問題より深刻なのが、EPUBならではのメリットが極めて少ないところ。EPUBが紙の媒体より長けているのは、文字や画像に加え、音楽や動画を組み合わせることができる点です。しかし、それはWebが見られる環境であれば、既にできること。

当然ですよね、EPUBは「Webブラウザで閲覧するものをまとめて圧縮し、パッケージ化したような形のもの」なんですから。そしてPCもスマホもタブレットも、Webを閲覧できるわけです。すると、優位性は「圧縮し、パッケージ化」という部分にしかないわけです。

EPUBがこういうものであることを、僕は恥ずかしながら「トルタル」に触れるまで、ロクに知りませんでした。そして知った結果、「ならばWebでいいんじゃないの?」と感じたわけです。

 

EPUB以外にも電子書籍と呼ばれる形式はあります。単純にテキストやリッチテキストにしたもの(書籍を元にしたものに多い)や、PDFやJPEGにしたもの(雑誌や漫画に多い)。つまり、電子書籍というオリジナルのカテゴリではなく、単純に紙を電子化したものです。

作家の京極夏彦さんが「電子書籍になると見せ方を考える人はほとんどいない」と仰ったようですが、至言だと思います。紙の置き換えとしての電子書籍に、大きな市場価値が見込めるとは思えません。電子書籍ならではのオリジナリティが欲しい。

それが将来的に生まれる可能性があるのか。僕は限りなく低いと思うのです。例外として「中規模メディア」には見出す余地があると思います(「トルタル」はまさにそれにあたるのです)が、それについてはまた、次の機会に。

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