桂正和  Katsura Masakazu
繊細で整った絵柄が最大の魅力だが、そのためにかえって中身のないビジュアルだけの作家と見られがちだ。しかし、青少年期の男性心理を偽ることなく淡々と描ききる姿勢は評価されるべきだし、その一種独特の作風は哀愁を誘う絵柄と相まって男女の切なさを微妙に表現している。評価が分かれる主な原因は、テーマや題材が画一的なことやスローすぎるストーリー展開にあると思われるのだが、エンタテイメントとしてみる限り決して質の低いものではない。もっともこの最上級のビジュアルセンスがあるならばそれに相応するストーリー構成を求めたくもなるのだが。
ウイングマン ★★★★
連載 集英社『週刊少年ジャンプ』 単行本 集英社ジャンプコミックス[全13巻]
集英社愛蔵版コミックス[全7巻]
集英社漫画文庫[全7巻]
正義の味方に憧れる広野健太は、ある日突然現れた少女の持っていたノートに描いた絵と同じ状態に変身してしまう。ラブストーリーにSFとヒーロードラマ的な要素が存分にちりばめられ、軽快なテンポとかわいい絵柄で上手くまとめられている。派手な戦闘シーンは見応え満点で、特にメインのキャラクターたちが繰り広げるアクションが印象的。〔w〕
電影少女 ★★★★★★
連載 集英社『週刊少年ジャンプ』 単行本 集英社ジャンプコミックス[全15巻]
集英社愛蔵版コミックス[全9巻]
集英社漫画文庫[全9巻]
弄内洋太がなにげなく借りたアダルトビデオから突然少女が現れた。文字通り「モテない」男だった洋太を中心に現実とSFをおりまぜて描かれるきめ細かい恋模様はあまりに切なく、もの悲しい雰囲気がそんな男女の心理を助長する。描画面での進化はめざましいものがあり、「電脳系」と呼ばれるナイーブなタッチのキャラクターは非常に美しい。〔w〕
D・N・A2 〜何処かで失くしたあいつのアイツ〜 ★★★★
連載 集英社『週刊少年ジャンプ』 単行本 集英社ジャンプコミックス[全5巻]
作者流のSFワールドの醍醐味が味わえる作品。未来から突然やってきた女の子に「おまえはメガ・プレイボーイだ」と告げられ命を狙われる純太。DNAと時間飛行という二つのキーワードが忙しく登場し、近未来風のシリアスストーリーに仕上がっている。意外とキャラクターに幅がない印象で、平均的なキャラと破滅的なキャラの登場が両極端。〔w〕
SHADOW LADY ★★★★★★
連載 集英社『週刊少年ジャンプ』 単行本 集英社ジャンプコミックス[全3巻]
内気な女の子アイミは、魔法のアイシャドウをつけると謎の怪盗シャドウレディに変身する。町中を混乱に巻き込み、発明好きな警察官ブライトには一目惚れしてしまう。作者の空想力が忌憚なく発揮された作品で、美しいキャラクターとグロテスクな描線のギャップが楽しい。ストーリーのまとまりの悪さと細かいディテールに甘さがある点がなんとも残念。〔w〕
I"s ★★★★★★
連載 集英社『週刊少年ジャンプ』 単行本 集英社ジャンプコミックス[全15巻]
集英社漫画文庫[全7巻]
瀬戸一貴はクラスメートで演劇部の葦月伊織になかなか想いを打ち明けられない。そんな不甲斐ない自分を責める時、思い出すのは幼なじみのいつきの言葉だった。男性心理ばかりが粘っこくねちっこく描かれている、ありそうでなかった少年漫画で、青少年期に経験しがちな葛藤の描写は、反発と共感の両方を与えてくれる。繊細で美しい絵柄だけをとっても没個性とは無縁の世界。〔w〕

河合克敏  Kawai Katsutoshi
アシスタントとしての経歴が長かったようで、そのためかデビュー当時から完成度の高い絵柄だった。冒険をしない比較的無難な作品作りが身上で、綿密な取材に基づいて描かれることもあって、作品は堅実味が高くて非常に好感が持てる。無論、決して退屈を呼ぶ性質のものではなく、しっかりと固まったキャラクターメイキングや落ち着いた絵柄が読み手にストレスを与えない。深くえぐったような人間心理の分析や高度な恋愛哲学はそこには存在せず、あくまで主人公が送る普通の生活をバックグラウンドを含めて淡々と描くのだが、それが少年誌の枠を越えないさわやかなスポーツ漫画となっている。少年漫画らしい少年漫画を描き続ける、現在では希少な作家だ。
帯をギュッとね! ★★★★★★
連載 小学館『週刊少年サンデー』 単行本 小学館少年サンデーコミックス[全30巻]
小学館少年サンデーコミックスワイド版[全15巻]
小学館文庫[全16巻]
浜名湖高校に入った粉川巧は4人の仲間と共に柔道部を創設する。1年生だけの柔道部は練習と試合を繰り返すうちにだんだん成長していき、チームワークの良さでやがて全国に名乗りを上げる。ありふれた普通の柔道部の日常をコミカルに描いていて、多様で魅力的なキャラクターと学生生活を含めたバックボーンが濃密に描かれている点が特徴的。〔w〕
モンキーターン ★★★★★★★★
連載 小学館『週刊少年サンデー』 単行本 小学館少年サンデーコミックス[全30巻]
少年誌には珍しく、競艇を題材とした漫画。甲子園への夢破れ目標を失っていた波多野憲二は、担任の先生の薦めで競艇選手を目指すことになる。本栖研修所での訓練生活、さらにはプロになってからの様々な試練が、ポップなタッチでスマートに描かれている。際立った特徴がないのがかえって特徴的になっており、安定感のある完成度の高い作品に仕上がっている。〔w〕

菊田洋之  Kikuta Hiroyuki
ア。
オッス!少林寺 ★★★★
連載 小学館『週刊少年サンデー』 単行本 小学館少年サンデーコミックス[全7巻]
ロックンローラー柴田広則は高校入学そうそう、少林寺拳法部に入部させられる。憧れのなっちゃんのために強くなろうと頑張るが、軟派な性格からどうしても根性が続かない。ポップで軽い展開はスムーズで少年マンガの王道とも云うべきものだが、キャラクターは非常に安直で、ストーリーには全く方向性が見えない。わかりやすい絵柄が救いか。〔w〕
ガンバ!Fry High ★★★★
連載 小学館『週刊少年サンデー』 単行本 小学館少年サンデーコミックス[全30巻]
【外伝】小学館少年サンデーコミックス[1巻]
原作は元オリンピック選手、森末慎二。逆上がりもできない中学生、駿は県下一の弱小体操部に入部する。主人公と体操部の仲間たちの成長を追うスポーツ漫画で、器械体操というあまり見慣れない題材を選んだ異色作ながら、ストーリー自体は無難で王道的な路線に仕上がっている。キャラクターや絵柄にもソツはないのだが、今ひとつインパクトに欠けるのが残念。〔w〕

北崎 拓  Kitazaki Taku
少年漫画界のベテランだが、昔から少年漫画にしては少々大人びた題材や内容を選んで描き続けている印象。テーマはSFからラブコメディ、歴史モノやスポーツ漫画など非常に幅広く、原作付きの作品にも積極的に挑戦している。以前は比較的オーソドックスな80年代スタイルの少年漫画タッチだったが、80年代の後半くらいから瞳が大きい現代風のキャラクターを描くようになってきており、これがラブストーリーでは読み手の感情を高める、強力な武器となっている。青年誌での連載も行っているが、少年誌だと青年誌的、青年誌だと少年誌的になってしまうのが不思議といえば実に不思議。。
望郷戦士 ★★★★★★
連載 小学館『週刊少年サンデー』 単行本 小学館少年サンデーコミックス[全7巻]
迅は、同級生の淳・俊介・哲雄と弟のきよしで長野県に財宝探しに出かけ洞窟に閉じこめられる。なんとか辿り出た時は、倫理も秩序もない、13年後の戦乱の日本だった。少年漫画とは思えぬほどシリアスな展開の連続で、ストーリーの前半から殺人や処刑シーンがお構いなしに登場し、読破するには相当の労力がいる。ディテールやシナリオは仮想の世界ながら余りにリアルで、判断の難しいところ。〔w〕
たとえばこんなラブソング ★★★★★★
連載 小学館『週刊少年サンデー』 単行本 小学館少年サンデーコミックススペシャル
[全6巻]
小学館少年サンデーコミックスワイド版[全4巻]
中学時代つきあっていた七尾瞳が突然帰ってきた。可愛い恋人八木真里子との間で、高瀬龍介の心は複雑に揺れ動く。ラブストーリーの定番中の定番といえる三角関係をドラマチックに、シリアスに描いた作品。不器用な仕草や生々しい心理描写が男女の本音を露呈し、丁寧な絵柄が切ない雰囲気を助長する。ストーリーセンスがひときわ目立つ秀作だ。〔w〕
ふ・た・り ★★★★★★
連載 小学館『週刊少年サンデー』 単行本 小学館少年サンデーコミックススペシャル
[全6巻]
芳賀靖幸と九條亜衣子は、高校進学を目前にして二人で東京へ出てきてしまう。一度は故郷の芦屋へ連れ戻されるものの、再び東京で生活を始める二人。まだ人生経験の浅い二人の思いやりとすれ違いにはどこかもの悲しさが漂い、体の弱い亜衣子のかよわさが切ない雰囲気を加速させる。男女の愛情について考えさせられる、純粋なラブストーリー。〔w〕
ますらお ★★★★★★
連載 小学館『週刊少年サンデー』 単行本 小学館少年サンデーコミックス[全8巻]
鞍馬寺に預けられている遮那王は自らが源氏の頭領源義朝の息子であることを知る。源平時代の英雄源九郎義経をモチーフにした歴史ドラマで、戦記物らしく全体を通じてシリアスな雰囲気でまとめられている。絵柄もシャープで戦乱の時代らしい緊張感・切迫感は上手く表現されているのだが、ストーリーにはちょっとものたりなさを感じてしまう。〔w〕
なぎさMe公認 ★★★★
連載 小学館『週刊少年サンデー』 単行本 小学館少年サンデーコミックス[全18巻]
「群青の隼」と呼ばれた兄隼人の幻影を引きずる藤井雅人は、転校してきた天才ランナー紺野なぎさに圧倒されっぱなし。作者には珍しくシリアスさのカケラもない作品で、脳天気ななぎさとウブな雅人とのやりとりは小学生のような奔放さがある。無難な少年漫画ではあるのだがバランスが悪く、性格の明るさやテンションの高さがわざとらしく見えてしまい残念。〔w〕

久米田康治  Kumeta Kouji
少年誌の王道とも言えるスポーツ漫画家としてスタートするが、そんな状態は長くは続かず、現在では見る影もない。次第にお色気やエロ(というほど過激なものではないが)が登場し、シナリオもコメディからギャグへと変化していく。作品を追うごとにギャグの鋭さは昇華していき、次第に読者の死角を上手くついた、かゆいところに手の届く秀逸な笑いが提供されるようになった。描線が太くなって安定し、現代的なルックスで描かれるようになったキャラクターたちもシニカルで楽しい。
行け!!南国アイスホッケー部 ★★★★★★
連載 小学館『週刊少年サンデー』 単行本 小学館少年サンデーコミックス[全23巻]
小学館少年サンデーコミックスワイド版[全11巻]
蘭堂月斗はカナダからの帰国子女で、特待生としてアイスホッケー部へ加入する、といった真面目なスポーツマンガだったのは本当に最初の最初だけ。あとはとにかくアイスホッケーとはまったく無縁のソフトなエロと下ネタギャグに終始する。作品としてのトータルコーディネートの悪さは歴然としており、シュールさも弱くて一時代前の雰囲気が漂っているが、独創的な作風が全てを補っている印象。〔w〕
育ってダーリン!! ★★★★
連載 小学館『少年サンデー増刊号』 単行本 小学館少年サンデーコミックス[1巻]
【新装版】小学館少年サンデーコミックス[全2巻]
女子高生のうららは周りにいい男がいないため、まだ小学生の許嫁坂本冬馬をなんとかいい男にするべく、同居生活を始める。斬新な設定が魅力的なコミカルなストーリーで、大仰で少年マンガ的なギャグも面白い。キャラクターは堅調でまとまっているのだが、それ以上の付加価値があまり見受けられず、ありふれたものに落ち着いてしまったのが残念。〔w〕
ルートパラダイス ★★★★★★
連載 小学館『ヤングサンデー』 単行本 小学館ヤングサンデーコミックス[全2巻]
浪人生の桜春平は、同じ予備校に通う蒼山夏樹がキャバクラに入っていくのを目撃してしまう。水商売の世界を軽いタッチで描いたコメディで、題材からストーリーまで、エンタテインメント要素がギッシリ詰め込められている。必要最低限のキャラクターやシンプルな絵柄など概ね堅実な作りだが、反面これといった特徴も見あたらず、平凡な印象。〔w〕
太陽の戦士ポカポカ ★★★★
連載 小学館『週刊少年サンデー』 単行本 小学館少年サンデーコミックス[全5巻]
穴を掘るのが趣味の小学生、堀川陸は穴の中から不思議な腕輪を発見する。しかしその腕輪は、ポカポカという少年を封じられた魔法の腕輪だった。完全にコメディに徹した学園ストーリーだが、本質的には個性的なはずのキャラクターたちに、なぜか今ひとつ魅力を感じない。シナリオも比較的落ち着いていて、意外性には欠けてしまった格好だ。〔w〕
かってに改蔵 ★★★★★★★★
連載 小学館『週刊少年サンデー』 単行本 小学館少年サンデーコミックス[全26巻]
部長に改造人間にされたと思いこんでいる改蔵や友達のいない羽美、鉄道オタクの地丹が繰り広げる学園ナンセンスギャグ。作者のセンスがふんだんに活かされた作品で、他に類を見ない独特の笑いを徹底して描く姿勢が嬉しい。とどまることを知らない雑学知識ばかりがクローズアップされがちだが、それらを支える構成力にも注目したいところだ。〔w〕

こせきこうじ  Koseki Kouji
いわゆる天才型の主人公をクールに描くことが大流行した80年代に、主に野球を題材にした「努力型」の漫画をひっさげて週刊誌に登場した。チビでぐずでのろまで、ひたすら「がんばる」ことしか能の無いような少年が主人公に据えられることが多いのだが、それをコミカルに仕立てつつも、努力の大切さや野球の醍醐味、シーンの迫力を失わずに仕上げる能力は卓抜している。絵柄もハートフルで、読み手を選ばないタイプ。ただ、当初は「努力型」だった主人公が、最終的には必ず「天才型」に転化してしまうのだけは不思議だ。現在は青年誌に活躍の舞台を移しているが、舞台設定以外は基本的に昔のテイストのまま。安心して楽しめる。
県立海空高校野球部員山下たろ〜くん ★★★★★★
連載 小学館『週刊少年サンデー』 単行本 集英社ジャンプコミックス[全21巻]
集英社ジャンプコミックスセレクション[全13巻]
ぐずでチビの山下たろー君が、海空高校のメンバーと共に甲子園を目指すストーリー。高校野球を題材にした典型的なスポーツ漫画だが、古典的な暑苦しい熱血ものとは一線を画していす。極端に現実とかけ離れた奇想天外なシーンは存在せず、努力を基本としたハートフルなシナリオが暖かい。比較的、好き嫌いの好みが分かれない作品といえよう。〔w〕
ペナントレースやまだたいちの奇蹟 ★★★★★★
連載 集英社『週刊少年ジャンプ』 単行本 集英社ジャンプコミックス[全14巻]
高校野球で大活躍した山田泰二の双子の兄というだけで、何の取り柄もない山田太一が、万年Bクラスのプロ野球球団アストロズで活躍する物語。コミカルと熱血の中間を行く独特の味わいは作者独特の世界で、三原監督をはじめ現実と仮想のキャラクターを上手く使っている。現実を織り交ぜたことによって、世界観がどんどん風化していってしまうのが残念。〔w〕
ぼくを野球に連れてって! ★★★★
連載 集英社『週刊少年ジャンプ』 単行本 集英社ジャンプコミックス[全3巻]
メジャーリーグドジャースに昇格することを夢見るそーいちろーはチビでぐずだが、唯一完璧なコントロールのピッチングを持っていた。連載当時としてはめずらしい、大リーグを題材にした作品だが、従来の日本野球を舞台とした作品と何の差異もない。根性と努力ですべてを解決しようとする姿勢にも限界が見え、ラストの引きも完全に消化不良。〔w〕