槇村さとる  Makimura Satoru
乙女チックな漫画が全盛だった'70〜80年代初頭の少女漫画界に、クールで洒落た恋愛を持ち込んだ功績者の1人。当時からその一端が見え隠れしていた「アダルトな恋愛ドラマ」の表現力は、その後も時代の機微を描きながらパワーアップし、実際に活躍の舞台を「大人の女性」向けの漫画誌に移した現在も、最先端の恋愛ドラマを描き続ける。当初はダンスをはじめとしたスポーツ漫画を描くことが多かったが、その後は時にコメディ、時にサスペンスと器用に描き分けている。題材を選ばないところはまさに実力派といった印象だ。
おいしい関係 ★★★★★★
連載 集英社『YOUNG YOU』 単行本 集英社ヤングユーコミックス[全16巻]
集英社漫画文庫[全10巻]
全く不自由のないお嬢様だった藤原百恵は、父が急死したことで職を探さなければならなくなる。街の洋食屋「プチ・ラパン」のシェフ織田圭二が作る料理に惚れ、本格的にコックを目指すことを決めた百恵を中心に描いたポップなストーリーで、流れるようにスムーズなシナリオが気持ちいい。安定感があるまとまりのいい作品で、安心して楽しむことができる佳作だ。〔w〕
イマジン ★★★★★★
連載 集英社『コーラス』 単行本 集英社ヤングユーコミックスコーラス[全11巻]
集英社漫画文庫[全7巻]
有名なインテリアの専門家で会社も経営する母美津子に対し、味にOLをやっている娘の有羽。2人の生活やそれぞれの恋人たちとの恋愛模様を中心に描かれるが、ありきたりな恋愛ドラマやホームコメディに終わらせない手腕が見事。全く個性の違う母娘の関係が面白く、意外性のあるストーリー展開もなかなか刺激的で、最後まで飽きさせない。〔w〕

魔夜峰央  Maya Mineo
少女誌で20年以上に渡って1本の連載を続けているというだけで珍しいことなのだが、それが男性というところが実に希有である。代表作と呼べる作品の数は非常に少ないのだが、その分、限られた作品は凄まじいヒットを放っている。ビジュアルのタッチは現在では類を見ない、古典的でコテコテな「キラキラ調」。一方でギャグのスタイルは定番の落ちものから落語、パロディ、雑学勝負の情報戦まで実に幅広い。その世界観は完全に独自の道を切り開いており、少女漫画はもちろん漫画界全体を見渡しても、追随するものすら見あたらない。
パタリロ! ★★★★★★★★
連載 白泉社『花とゆめ』『増刊花とゆめ』『花とゆめEX』
『別冊花とゆめ』『花とゆめPLANET増刊号』
『花とゆめEPO』『メロディ』『別冊花とゆめ増刊』
『ザ・花とゆめ』『花とゆめプラチナ増刊』
単行本 白泉社花とゆめコミックス[続刊中]
白泉社文庫[続刊中]
周囲を海に囲まれた小国マリネラは、豊富なダイヤモンドを地下資源に持つ常春の国。マリネラ王子パタリロと英国情報部(MI6)のバンコラン、その愛人マライヒなどを中心に描いたコメディ。少女漫画界に燦然と輝く大長編作品で、当然のようにアニメ化、映画化されている。インパクトのあるパタリロが繰り広げる、しつこいまでのギャグにとにかく圧倒されてしまう。〔w〕

水沢めぐみ  Mizusawa Megumi
特に若年層向けの少女漫画に於いては「センターラインのど真ん中」を突っ走る、恋愛漫画の旗手。かわいらしさを極めたようなビジュアルタッチ、乙女心をくすぐるストーリー、ドジでおてんばなキャラクターと、一度は少女が夢見るファンタジーな世界を期待通りに描き続ける。特徴的なのは魔法や変身といった「プチSF」を積極的に取り入れているところ。そのため恋愛の機微を描くというより、ストーリーのメリハリが重視される傾向が強い。勢い、ラブストーリーに絡みがちなシリアスな展開は極めて少なく、それがまた「王道」たる一因ともなっている。ほのぼのとしたタッチも熱狂的ファンからライトユーザーまで幅広く受け入れる下地になっており、簡単に描けそうで描けないこの「王道」というものを突き詰め、それを長きに渡って発表し続けている手腕は高く評価されるべきだろう。
チャイム ★★★★
連載 集英社『りぼん』 単行本 集英社りぼんマスコットコミックス[全3巻]
新学期の初日。立原朝子と高野良介は遅刻してしまったところの写真を、担任の有馬に撮られる。キャラクターは内気な主人公、シナリオは失恋&友人との三角関係、整った可愛らしい絵柄とまるで少女漫画の見本のようなラブストーリーで、ケチの付けどころがない反面、評価のしどころもない。無毒無害の内容のため、子供たちにも安心して読ませられるところが長所といえば長所か。〔w〕
姫ちゃんのリボン ★★★★★★
連載 集英社『りぼん』 単行本 集英社りぼんマスコットコミックス[全10巻]
集英社漫画文庫[全6巻]
男の子のように元気でおてんばな野々原姫子のもとに、魔法の国から容姿がそっくりのお姫様が現れる。誰にでも変身できるリボンをもらった姫子とぬいぐるみのポコ太、人気者の小林大地を中心に繰り広げられるファンタジーで、ストーリーは少女漫画の王道をいっている。可愛いキャラクターの設定力が見事で、まとまったキュートな絵柄の雰囲気と見事にマッチしている。〔w〕