喜国雅彦  Kikuni Masahiko
シュールでセンセーショナルな笑いを生み出し続けるギャグ作家。青年誌にしては王道的で、見方によってはかわいらしくも感じる絵柄から生み出されるギャグはかなり刺激的で、ギャップの激しさがその笑いを深めている。笑いは下ネタ中心で、時に社会風刺的な要素が混じることもあるが、基本的には直球勝負。80年代後半から90年代にかけて、漫画だけでなくテレビなどの芸能の世界でも王道的なギャグに陰りが見え始めたのにあわせて、作者の活躍の舞台も狭まってしまった印象だが、なんとかもう一度往年の勢いを取り戻して欲しい。数は少ないが、ギャグ要素が一切混在しないシリアスな作品も発表している。夫人は国樹由香。
三丁目防衛軍 ★★★★
連載 小学館『ヤングサンデー』 単行本 小学館ヤングサンデーコミックス[全3巻]
就職が決まらず合同説明会に出かけた杉本君は変な人々に無理矢理誘われて地球防衛軍にはいることになったが、行ってみれば八百屋でよく分からないことをやっている集団だった。なんだかよく分からないギャグ漫画だが、めずらしくストーリーがつながっているのと、キャラクターが確立している点に注目。すぐにSMにつなげたがる部分を除けば、さほどエロチックではないのも特徴的だ。〔w〕
月光の囁き ★★★★★★
連載 小学館『ヤングサンデー』 単行本 小学館ヤングサンデーコミックス[全6巻]
小学館文庫[全4巻]
作者としては数少ないシリアスな作品。剣道部の部長、日高拓也は同じ剣道部の北原紗月に憧れの心を抱く。2人が抱く心が憧れから恋愛感情に、さらにそれは倒錯した性的感情へ発展する過程を描いた、アブノーマル的な恋愛漫画。作中で散々決め打たれながらも、拓也の行動を一概に「変態」とは言いきれないほど、不思議な説得力に満ちている。〔w〕
日本一の男の魂 ★★★★
連載 小学館『ヤングサンデー』 単行本 小学館ヤングサンデーコミックス[続刊中]
相変わらずの下ネタの嵐。とにかく男の恥ずかしい情けない部分を徹底的にあげつらった姿勢は間違っていないし、その性質を1話ごとに冷静に数字で分析するのがおもしろい。無論女性が読んで面白いものとは思えないが、自虐的なギャグ漫画としては既に完成形に近く、このジャンルでは比較的大衆に受け容れやすい位置にある作品の一つだろう。〔w〕

きたがわ翔  Kitagawa Syou
もともと少女漫画家だったが、のち青年誌に転進した。最大の特徴は絵柄で、アクリルから水彩まで多様な画材を駆使したカバー画や、独自色の強いスクリーントーンの技術はもはや芸術的だ。ただ、漫画と云うより絵画の世界に近いためか、トビラや大カットには強いが、細かいカットでの人物の機微が拙いのが懸案か。ストーリーやキャラクターも、ナイーブな青年期の心情を表現する恋愛作品で一定の評価をおさめたものの、絵柄ほどの評価を受けるには至らなかった。しかし近年、ホームコメディなどに題材を広げだしてから、ストーリーやキャラクター構成のテクニックも一皮むけた印象。それに連れて絵柄の面でも表情の機微が豊かになっており、今後ますます期待できる作家の一人だ。
19(nineteen) ★★★★
連載 集英社『ヤングジャンプ』 単行本 集英社ヤングジャンプコミックススペシャル
[全12巻]
集英社漫画文庫[全7巻]
久保田一至はジャニーズなみのルックスを持ちながらいまだ童貞。初恋の女性藤崎に同窓会で再会するものの、うまくはいかなかった。都会の大学生がスマートな恋愛をする実にありふれた設定なのだが、青少年期の男の感情や心理が微妙に表現されていて面白い。個性的な脇役陣に助けられている印象もあるが、それらを破綻なくまとめ上げる手腕はなかなかのものだ。〔w〕
B・Bフィッシュ ★★★★
連載 集英社『ヤングジャンプ』 単行本 集英社ヤングジャンプコミックススペシャル
[全15巻]
完璧な運動センスを持ちながらなぜか泳ぐことができない葉山潮と、神秘的な美少女サラとの間で繰り広げられる恋愛ドラマ。マリンスポーツを舞台としているめずらしい作品なのだが、あまりにも個人的趣味趣向が強調されていて少々辟易する部分もある。展開はそれほど強引というわけではないのだが、全体的なまとまりは良くない印象だ。〔w〕
ホットマン ★★★★★★
連載 集英社『ヤングジャンプ』 単行本 集英社ヤングジャンプコミックス[全15巻]
集英社漫画文庫[全10巻]
ジャン・レノに似た美術教師の円蔵は、血のつながらない娘七海と、父親の違う4人の兄弟たちと共に暮らす。複雑な人間関係や恋愛模様が落ち着いたタッチでドラマチックに描かれており、兄弟たちの明るさやあたたかさが胸にしみてくる。健康オタクの円蔵とアトピーに悩む七海との対比がシリアスで、この作品をただのホームドラマに終わらせない。〔w〕

窪之内英策  Kubonouchi Eisaku
限りなくギャグに近い、痛快でアップテンポなコメディが身上。流れるようなストーリー、個性溢れるキャラクター、落ち着いた堅実な絵柄とヒットを飛ばす要素は揃っているのだが、作家自体の能力の割にはヒット作が少ないのが残念なところ。売れる作品はとにかく隙がないのだが、売れない作品は全てが微妙に空回りする、当たりはずれの大きい作家である。おそらく問題は、キャラクターのインパクトに頼りすぎたり、絵のかわいらしさに執着しすぎたりしているためだと思われる。あとは重厚で、濃密なストーリーさえ作り上げられればと思うのだが。シリアスな作品や原作付きの作品にも是非トライしてもらいたいところだ。
ツルモク独身寮 ★★★★★★★★
連載 小学館『ビッグコミックスピリッツ』 単行本 小学館ビッグスピリッツコミックス[全11巻]
小学館ビッグコミックスワイド版[全5巻]
小学館文庫[全7巻]
家具メーカーのサラリーマンとして就職した宮川正太は夢と現実の狭間で悶々とした日々を過ごす。ブルーカラーの人々の生活をパワフルなコメディで色づけした作品で、強烈なキャラクター陣がとにかく面白い。バランスの取れた情況設定は秀逸で、とんでもない大金持ちや奇妙なフランス人が出てきてもなぜか違和感を感じない。文句なしの秀作。〔w〕

小泉裕洋  Koizumi Yasuhiro
80年代から連載作品を発表している中堅作家なのだが、少年誌・青年誌・一般誌と場所を選ばずに描いている割には知名度が非常に低い。絵柄は若干古臭さを感じるものの、比較的堅実な絵柄で、ストーリーやキャラクターにも大きな齟齬はない。それにも関わらずヒット作が少ないのは、作風がどうにも地味すぎるためだろう。とにかく作者ならではの味や個性というものが、作品から感じられないのだ。やはり、まとまりがいいというだけでは、本当に面白い作品は作れない。基本的には実力のある作家だと思うのだが、それを活かせていないのがなんとも残念だ。
ダイヤモンドがまぶしくて ★★
連載 集英社『ヤングジャンプ』 単行本 集英社ジャンプコミックスデラックス[全3巻]
京都の花岡高校野球部のショートだった船場勇児と牧本志織を中心としたストーリー。当初は恋愛を絡めた野球マンガかと思ったが、段々恋愛要素に重点が置かれるようになり、最終的には典型的なラブストーリーに落ち着いた。おそらく当初短編として描かれたのだろうが、作品のトータルコンセプトが感じられずまとまりがないのは残念なところ。〔w〕
競艇少女 ★★★★
連載 集英社『ビジネスジャンプ』 単行本 集英社ジャンプコミックスデラックス[全14巻]
原作は寺島優。財閥のお嬢様だった速水晶は母親の反対を強引に押し切って競艇選手を目指す。とにかく主人公の個性だけが強く、脇役陣のキャラクターがあまりに弱い。ストーリーはスムーズなのだが、細かいディテールには現実離れしたような設定や展開が見られる。まとまりのいい絵柄だけでそれらをカバーしきれるものではない。〔w〕

小山ゆう  Koyama Yuh
デビュー前はさいとう・たかをプロなどでアシスタントを経験し、その後少年誌でデビュー、いきなり大ヒットを飛ばす。当初はコメディものの作品が多かったこともあって、シリアスな中にも笑いの要素を取り混ぜる独特のセンスが秀逸。絵柄も独特で、表情の付け方は劇画の雰囲気を色濃く残した、ベテランらしい味のあるタッチなのだが、アクションシーンでは時代の最先端をいくような躍動感ある描線を描く。題材はボクシングなどのスポーツ漫画から歴史モノまで幅広く、原作の有無にとらわれることなく、独自の世界観を作り上げている。連載作品はそのほとんどが長期連載に渡っており、じっくりと落ち着いていいものを作り上げる、職人的な創作活動を行っている。
おーい!竜馬 ★★★★★★★★
連載 小学館『ヤングサンデー』 単行本 小学館ヤングサンデーコミックス[全23巻]
小学館ヤングサンデーコミックスワイド版
[全14巻]
小学館文庫[全14巻]
家具メーカーのサラリーマンとして就職した宮川正太は夢と現実の狭間で悶々とした日々を過ごす。ブルーカラーの人々の生活をパワフルなコメディで色づけした作品で、強烈なキャラクター陣がとにかく面白い。バランスの取れた情況設定は秀逸で、とんでもない大金持ちや奇妙なフランス人が出てきてもなぜか違和感を感じない。文句なしの秀作。〔w〕