原 秀則  Hara Hidenori
初期は堅実なスポーツ漫画が主体だったが、最近ではより実生活に近い現実的な舞台で繰り広げられるラブストーリーが多くなった。あくまで等身大的な視点で繰り広げられる恋模様であることが最大の特徴。浪人・就職活動といったやや特異ではあるが社会の中心から大きく離れない身近な舞台が取り上げられている。もちろんそういったことを経験している人が読めば捉え方が違うだろうし、現在そういった境遇にある人はさらに大きい影響を受けることだろう。読者を選ぶ作家ではないが、選ばれた読者はまた違った世界を垣間見ることができる。
ジャストミート ★★★★★★
連載 小学館『週刊少年サンデー』 単行本 小学館少年サンデーコミックス[全19巻]
小学館文庫[全11巻]
グラウンドは校舎の屋上に内野だけ、全員が小山商店街に店舗を構える店の息子9人で構成された星高校の野球部はフォークしか投げない橘、滅法足の速い坂本、ストレートには非常に強い音無など個性派揃い。高校野球を舞台とした典型的なスポーツコメディだが、残念ながら現在読むとややオーバーな展開に古くささを感じてしまうかもしれない。〔w〕
フリーキック ★★★★★★
連載 小学館『週刊少年サンデー』 単行本 小学館少年サンデーコミックス[全8巻]
サッカーの街、洋南市で育った中山優作は、天才的なパワーとスピードがありながら、全国優勝の立役者である弟の良作と比べられてばかり。Jリーグが発足する前の、サッカーが現在よりまだマイナーだった時代に、その魅力を伝えようとした意気がすばらしい。やや前時代的なキャラクターやビジュアルが当時を反映していて、興味深いところだ。〔w〕
冬物語 ★★★★★★
連載 小学館『ヤングサンデー』 単行本 小学館ヤングサンデーコミックス[全7巻]
小学館文庫[全5巻]
大学受験に失敗した森川光は、予備校の窓口で出会った雨宮しおりに一目惚れし、そのまま一緒に東大専科コースに申し込んでしまう。浪人生をテーマにした物語だけにやや暗い雰囲気が漂っているが、浪人生活を味わったことのある人にとっては感慨深いストーリーだろう。三角関係の定番ともいえる優柔不断な主人公がなかなかいい味を出している。〔w〕
部屋(うち)においでよ ★★★★★★
連載 小学館『ヤングサンデー』 単行本 小学館ヤングサンデーコミックス[全7巻]
小学館ヤングサンデーコミックスワイド版
[全4巻]
飲み屋で出会ってからなんとなく一夜を過ごしてしまった塩村ミキオと水沢文は、そのまま彼女の部屋で半同棲生活を始める。精錬された都会派のラブストーリーで、細かい雰囲気が臨場感たっぷりに表現されていて新鮮だ。キャラクターや情況設定はやや平凡な印象だが、澱みのないストーリーがありがたくラストにかけての雰囲気がなんとも切ない。〔w〕
やったろうじゃん! ★★★★★★
連載 小学館『ビッグコミックスピリッツ』 単行本 小学館ビッグスピリッツコミックス[全19巻]
小学館ビッグコミックスワイド版[全9巻]
自分もかつて高校球児だった喜多条は、野球部の監督を引き受けることになる。ひたむきに努力するナインは情熱にあふれているし、指導する監督の様子もなかなか精力的だ。しかしなんといってもこの作品の魅力はなかなか先の読めない展開。前半ではキャプテンを中心に描き、後半では監督自身の問題を深くえぐった緊迫のストーリーは見応え十分。〔w〕
いつでも夢を ★★★★
連載 小学館『ヤングサンデー』 単行本 小学館ヤングサンデーコミックス[全6巻]
何の取り柄もない多田野一郎はつまらない高校生活を送っていたが、同じ学校の小島能理子に励まされて漫画を書き始める。前半はやや退屈な展開なのだが、編集者の泉さんに出会い、大学進学を諦めたあたりから漫画を目指す青年の情熱が描かれるようになり引き込まれる。致し方ないことかもしれないが全体的なまとまりに欠ける点がとにかく残念。〔w〕
サムデイ ★★★★
連載 小学館『ヤングサンデー』 単行本 小学館ヤングサンデーコミックス[全8巻]
唐沢周は就職活動中。恋人の絵理香や友人の三田村に先を越され、徐々に焦っていく。厳しい就職戦線を軽いタッチで描いているが、特殊な題材なだけに実際に同じ境遇におかれている人でなければリアリティを感じることができないのではないか。構成もキャラクターも一定のクオリティーを保っているのだがそれ以外に何かひきつけるものがない。〔w〕

藤島康介  Fujishima Kousuke
洗練された現代風のビジュアルを武器に、男心をくすぐるキャラクターとスピード感のあるストーリーで、さらりと爽快に読ませてくれる。反面、重厚感や奥行きといったものは、シナリオにも人物や状況の設定にも存在しないわけなのだが、エンターテイメントと割り切った作りにシフトしているわけだから、それは致し方ないところ。ただ、エンターテイメントに徹するのであれば、もっとやりようはあるはず。マニアックに振るのであればそのように、もっと大衆受けを狙うならそのように、とにかく徹底していないところが歯がゆい。作品の多くがアニメ化やドラマ化されているように、根幹の部分はしっかりしている。あとはどう枝葉をつけていくかが今後の課題といえよう。
逮捕しちゃうぞ ★★★★★★
連載 講談社『モーニングパーティ増刊』『モーニング』 単行本 講談社パーティコミックス[全7巻]
講談社アフタヌーンコミックス[全5巻]
講談社アフタヌーンコミックスデラックス[全6巻]
講談社漫画文庫[全4巻]
メカに滅法強い小早川美幸と人間離れしたパワーを持つ辻本夏美は、ミニパトでコンビを組む婦人警官。車やバイク、お色気を最大限に生かしたコミカルアクションで、一話ごとのページ数が少ないためかテンポもよくメリハリも利いている。ダンディーな課長をはじめとしたバラエティあふれる脇役陣も魅力的で、迫力満点のマシンデザインも必見だ。〔w〕

星里もちる  Hoshisato Mochiru
繊細でかわいらしい絵柄で描かれるキャラクターはあくまで等身大。大胆な表現を使わずに、ありふれた「普通っぽい」キャラクターたちを操っているが、雰囲気やバックボーンで感情や性格を表現する手腕は相当のもの。テーマの多様性も魅力の一つで、当初はSFチックな作品が主体だったが、最近ではホームコメディが圧倒的に多い。時にシリアスな展開でメリハリをつけ、青年誌ならではの冒険を上手い具合にかみ合わせていて、あたたかみのあるグラフィックとのギャップが楽しい。舞台を一般誌に移してからもアットホームなその作風で誌面をにぎわしている。
いきばた主夫ランブル ★★★★★★
連載 徳間書店『ヤングキャプテン』『少年キャプテン』 単行本 徳間書店少年キャプテンコミックススペシャル
[1巻]
エンターブレインビームコミックス[1巻]
アニメーターの直人と漫画家のちあきは同棲中。失業した直人は、隣に住むたかさんの影響で主夫生活を始めることに。テレビドラマのような軽快な展開とメリハリをきかせたキャラクターがユニークで、飽きさせない作りに仕上がっている。家事労働と男女問題との関係が社会的に議論されて久しいが、難しい問題を構えないで描ききった点が魅力的だ。〔w〕
かくてるポニーテール ★★★★
連載 JICC出版局『少年宝島』 単行本 徳間書店少年キャプテンコミックススペシャル
[1巻]
異常にケンカの強い広宮彩子は絡まれた女の子を助けるために不良を倒しているのを彼氏に見つかって振られてしまう。トレードマークのポニーテールを切りすててもうケンカはすまいと心に決めたとき、彩子の前に変な宇宙人が現れた。初期の作品であるとはいえややまとまりに欠ける印象があるのは作者が言うように未完のままだからなのだろう。〔w〕
わずかいっちょまえ ★★★★★★
連載 徳間書店『少年キャプテン』 単行本 徳間書店少年キャプテンコミックススペシャル
[1巻]
エンターブレインビームコミックス[1巻]
母子家庭で育つ遊川和好(わずか)の愛犬マッハ号が死んだ。孤独に耐えるわずかを天国で見守るマッハ号は女神様にお願いして地上に再び降り立つ。キャラクターの可愛さからコミカルなストーリーと思いきや、あまりにシリアスな展開の連続に驚く。斬新な題材はそれだけでも十分に評価できるもので、空想と現実が上手く絡められている構成は圧巻。〔w〕
ハーフな分だけ ★★★★★★
連載 小学館『ビッグコミックスピリッツ』 単行本 小学館ビッグスピリッツコミックス[上下巻]
小学館ビッグコミックスワイド版[1巻]
役者の卵でありながら、クサいセリフにはからきし弱い御前岳実と、泣き虫の翻訳家音裏由羽が繰り広げるラブコメディー。主役二人をはじめとするキャラクターの面白さに、シナリオが全面的に助けられている格好だが、ポップな作風はそんな部分をあまり感じさせない。短期連載だけに、全体的にややまとまりがなく感じるのはいたしかたないところか。〔w〕
りびんぐゲーム ★★★★★★★★
連載 小学館『ビッグコミックスピリッツ』 単行本 小学館ビッグスピリッツコミックス[全10巻]
小学館文庫[全7巻]
DM会社に勤める不破雷蔵の家で繰り広げられる住宅コメディ。転居先のビルが傾いて職住が合体し、さらに10歳年下の新入社員いずみちゃんと同居する羽目になって、苦悩する不破の様子がたまらなく面白い。2人の主人公のストレートなネーミングセンスから、個性の強い脇役陣まで実にコミカルで、スムーズなストーリー展開も上手く機能している。〔w〕
結婚しようよ ★★★★★★
連載 小学館『ビッグコミックスピリッツ』 単行本 小学館ビッグスピリッツコミックス[全6巻]
学生時代からつきあっている紺野雅寿と見城早苗は、二人そろってハイテク企業アゲハテクニカルへ就職するが、結婚を夢見る紺野に対し、機械オタクの早苗は全く乗り気ではない。男女のつき合い方を社会的問題要素を絡めて描いた意欲作だが、テンポがよいわりにはストーリーがものたりないし、キャラクター的にももう少し煮詰まったものがほしい。〔w〕
夢かもしんない ★★★★★★
連載 小学館『ビッグコミックスペリオール』 単行本 小学館ビッグコミックス[全5巻]
中小のコンピュータ会社で働く営業マン加勢は、仕事が多忙なため家庭に時間がさけない。娘には嫌われ、妻とはケンカばかりの毎日だが、ある日家に帰るとそこにはかわいい幽霊がいた。現実の厳しい世界と幻想の世界を上手く混ぜ合わせていて、複雑な人間関係と心理描写も相まって奥深い話に仕上がっている。一般誌への転向はどうやら吉と出たか。〔w〕

細野不二彦  Hoshisato Mochiru
最大の魅力は洗練されたストーリー。テレビドラマのようにテンポのいい流れるようなコマ割りに、極端な味付けをしていないのに実に魅力的にキャラクターを仕上げる手腕は芸術的だ。主人公の葛藤や心理描写だけではなく、会話や情況設定にもメッセージ性が盛り込まれる。また主人公のバックグラウンドが緻密に描くことで、彼らの情熱が激しく伝わってくるし、多岐に渡る題材もリアリティをより深めていて面白い。粗野なようで、実は非常に繊細なタッチは、背景がやや暗ずんで見えてしまうため好みがわかれるところかもしれないが、これが全体的に迫力をつける効果を生んでいる。
さすがの猿飛 ★★★★★★
連載 小学館『少年サンデー増刊』 単行本 小学館少年サンデーコミックス[全7巻]
小学館スーパービジュアルコミックス[全3巻]
メディアファクトリーMF文庫[全4巻]
忍者を養成する忍が丘高校にとんでもない転校生がやってきた。ふとった体に似合わず、忍者としては極めて優秀な猿飛肉丸と、肉丸の幼なじみで校長の娘の霧隠風子が繰り広げる学園ラブコメディー。アニメ化もされた作品で、そのハチャメチャなキャラクターとわかりやすいドタバタが気持ちいい。古くささにはあえて目をつぶって読んでみたいう。〔w〕
GU-GUガンモ ★★★★★★
連載 小学館『週刊少年サンデー』 単行本 小学館少年サンデーコミックス[全12巻]
小学館少年サンデーコミックスワイド版[全6巻]
飼っていた文鳥が逃げられてしまった半平太のために、姉のつくねは変わった卵を拾ってくる。しかし中から出てきたのは、なんとも奇妙な人語を解するトリだった。コーヒーを飲むと酔っぱらってしまうガンモがかわいらしく、コミカルでアップテンポな展開が面白い。まさに少年コミックの王道といえる作品で、これもアニメ化され好評を博した。〔w〕
ママ ★★★★★★★★
連載 小学館『ヤングサンデー』 単行本 小学館ヤングサンデーコミックス[全9巻]
小学館ヤングサンデーコミックスワイド版
[全6巻]
萩原行は向いの食堂に住む江口みさをに恋するが、彼女は留太郎という息子を持つバツイチだった。さえない毎日を送っていた高校を中退し、料理人を目指して専門学校で学ぶうちに急速に成長していく萩原を、みさをは次第に意識し始めるようになる。男女間の微妙な心理と様々な葛藤の中で必死であえぐ青年期の男のひたむきさが丁寧に描かれていて、非常に完成度の高い作品に仕上がっている。〔w〕
BLOW UP! ★★★★★★★★
連載 小学館『ビッグコミックスペリオール』 単行本 小学館ビッグコミックス[全2巻]
小学館ビッグコミックスワイド版[1巻]
小学館文庫[全1巻]
ジャズミュージシャンを目指す若者達が音楽に人生を傾けていく様子を描く。菊池はプロを目指して大学を中退してしまうが、収入が少なく生活は常に苦しい。行きつけのバーのマスターや大学時代の後輩にバイトを紹介してもらいながら本物の音楽と仲間を見つけていく。暑苦しいほどのジャズへの思い入れと物足りなく感じるほど恋愛要素を抑えた構成が壮絶な迫力とリアリティを生みだしている。〔w〕
りざべーしょんプリーズ ★★★★★★
連載 小学館『ビッグコミックスピリッツ』 単行本 小学館ビッグスピリッツコミックス[全10巻]
小学館文庫[全7巻]
新人ツアーコンダクター大沢ちえりの奮闘ぶりを描く。やり手の主任添乗員日向に比べ、ちえりの仕事ぶりはミスばかり。題材が斬新で、旅行の魅力や旅行者の細かい問題点を鋭く指摘しているが、同時に軽い気持ちで疑似旅行体験を味わうことができる。あくまでポップなエンタテイメントであることを認識しながら読みたい作品。ちょっとした豆知識がうれしい。〔w〕
愛しのバットマン ★★★★★★
連載 小学館『ビッグコミックスペリオール』 単行本 小学館ビッグコミックス[全13巻]
とにかく律儀な野球選手香山雄太郎は美人の奥さんを持ち、チームの4番で人望も厚い。舞台や情況設定は別段めずらしいものではないが、試合展開や練習風景を描いた他の野球マンガとは違い、選手の私生活や人間関係を中心に描かれているのが大きな特徴で、なかなか意欲的な作品だ。繊細な心理描写も秀逸で、波乱含みのストーリー展開も面白い。〔w〕
ギャラリーフェイク ★★★★★★
連載 小学館『ビッグコミックスピリッツ』 単行本 小学館ビッグスピリッツコミックス[続刊中]
小学館文庫[続刊中]
贋作専門の画商フジタは、メトロポリタン美術館の元キュレーター。独自の見解で贋作を売りさばく一方で、美術品に対してはまったく妥協を許さない。美術への豊富な知識がふんだんに生かされていて強いインパクトとリアリティが生まれているが、ストーリー的な展開に乏しく、中盤以降はややマンネリの印象。画質もやや難あり。〔w〕
太郎 ★★★★
連載 小学館『ヤングサンデー』 単行本 小学館ヤングサンデーコミックス[全24巻]
小学館ヤンサンデーコミックスワイド版
[全10巻]
一方ではプロボクサーとして、また一方では信用金庫の営業マンとして、2足のわらじを履く吉野太郎。当初は昼の仕事と夜の練習の両立の難しさが切々と語られていたが、次第に勝負に命を削る男の情熱や激しい男女の情念が描かれるようになった。やや勢いが空回りしていて、まとまりに欠ける点が残念。ビジュアルもだんだん荒くなってきている。〔w〕