三浦建太郎  Miura Kentarou
本格的な長編連載作品は1本だけ、他の短編も原作付きと、現段階では判断材料が少ない割には、作家としてのスタンスやイメージは固まってしまった感がある。ダイナミックでドラスティックな圧倒感のある画力と、凄惨で流麗なストーリー、舞台はファンタジーながらダークな色に染まりきった場面設定など、現代的な「暗さ」をリアルに描く。現代的なダークストーリーの多くは、恐怖や絶望を煽るだけ煽っておいてそのまま放ってしまうのだが、絵の面でも話の面でも作品に対して妥協しない作者は、決してそのミスを犯さない。しかしそれを犯した瞬間に、凡百の駄作と変わらぬクオリティに陥ってしまう危うさも内包している。是非ともこのまま誠実な作品作りを続けていって欲しい。
ベルセルク ★★★★★★
連載 白泉社『アニマルハウス』『ヤングアニマル』 単行本 白泉社ジェッツコミックス[続刊中]
ガッツは傭兵集団「鷹の団」のボス、グリフィスに勧められその仲間になる。RPGの舞台ともなりやすい中世欧州風の情況設定だが、ありふれたファンタジーものとはまるで違う。特に前半に多い殺戮シーンは情けも容赦もなく、はっきりいってグロい。迫力や構成は超一流のものだが、独特の画風と凄惨なカットには抵抗感を持つ人も多いだろう。〔w〕

村上もとか  Murakami Motoka
当初少年誌で連載を始め、かなりのヒットも飛ばしたが、青年誌を経て、現在では一般誌が主たる舞台となっている。ストーリーはとにかく重厚そのもの。少年誌ではさすがにスポーツやレースをテーマにすることが多かったが、青年誌や一般誌では歴史ものや時代もの、それもほとんど漫画では描かれることのない近現代を題材にしている。刑事や医療、司法などもテーマにしており、基本的にカタい題材を苦にしないようだ。不思議なのが、少年誌でデビューした割に、絵が劇画っぽいこと。時代ものではこれが抜群の臨場感を生む武器となっている。決してインパクトのある作品を作るタイプではないが、堅実な作品作りは評価されて然るべきだろう。
風を抜け! ★★★★
連載 小学館『週刊少年サンデー』 単行本 小学館少年サンデーコミックス[全13巻]
モトクロスの草レースで最強を誇っていた一文字慧は国際モトクロスB級チャンプの風祭和人に出会い強烈なショックを受ける。高校に進学せず、モトクロスのレーサーとして徐々にステップアップしていく慧と彼のライバルたちを中心に描く。泥にまみれた厳しいオフロードレースの緊迫感は凄まじいが、ストーリー自体にまとまりが感じられない。〔w〕
龍 -RON- ★★★★★★★★
連載 小学館『ビッグコミックオリジナル』 単行本 小学館ビッグコミックス[続刊中]
押小路財閥の嫡男として生まれた龍は文武に優れた好漢。昭和初期の動乱を激しく描いた力作で、叔父との確執や使用人だった田鶴ていとの激しい恋などを経験する龍の成長と共に舞台も京都から東京、果ては中国大陸へと加速度的に広がっていく。戦前の混乱期を必死で生き、更には偏見と差別を堪え忍んできた人々の苦悩までも描いた壮大な作品。〔w〕

盛田賢司  Morita Kenji
非常に完成度の高い絵柄に、まず目がいく。青年誌というカテゴリ故に特に目を引くのだろうが、それを差し引いたとしても人物の描線などは一級品。取り上げるテーマも新人時代からかなり斬新なものを扱っていて、将来を非常に嘱望された作家の1人だった。だが、現在その期待に応えられているかというと、それは十分ではないと思われる。最大の弱みはストーリーに奥行きがないこと。シーン毎のディテールはいいのだが、作品全体を通してみたときにどうしても薄っぺらくなってしまい、特に長編にその傾向が強い。原作付きの作品にも挑戦しているが、裏目とは言わないまでも、解決策にはならなかった。地力はある作家だと思うだけに、もう少し頑張って欲しいのだが。
チューロウ ★★★★★★
連載 小学館『ビッグコミックスピリッツ』 単行本 小学館ビッグスピリッツコミックス[全2巻]
古田清貴は高校受験に失敗し、予備校の寮で様々な将来を夢見る。中学浪人をテーマとしためずらしい作品で、世間に認められてもらえない肩身の狭い境遇は、一種の社会的弱者でもあることを認識させられる。勉強のみを強制される現状に満足せず、恋愛も人並みにしたいという欲求は共感できるし、ストーリーをより現実的で魅力的なものにしている。〔w〕
アイ・ラブ・ユー ★★★★★★
連載 小学館『ビッグコミックスピリッツ』 単行本 小学館ビッグスピリッツコミックス[全3巻]
桜花高校体育科に水泳の特待生として入学した赤井修二は、腰に慢性的な持病を持つ。2年になり退部届を出そうと考えていたころ、初恋の人若林千夏が後輩として水泳部に入ってきた。青年誌への連載作品としてはインパクトが薄かったかもしれないが、最初から通して読むとなかなか魅力的で、最近ではめずらしい「純愛」をスマートに見せてくれる。〔w〕
しっぷうどとう ★★★★
連載 小学館『ビッグコミックスピリッツ』 単行本 小学館ビッグスピリッツコミックス[全11巻]
長門烈は阿南俊に憧れて剣道部に入部する。今までの自分を変えたい烈が剣道に没頭する一種のスポ根漫画だが、顧問の三田やライバル古橋などの思惑も様々に絡まってなかなか面白い。キャラクターにそれぞれ特徴はあるのだがストーリーがそれを邪魔してしまっている格好で、ありふれた剣道漫画と大差なくなってしまっているのが残念だ。〔w〕
ブルーダー ★★★★
連載 小学館『ビッグコミックスピリッツ』 単行本 小学館ビッグスピリッツコミックス[全3巻]
一方ではプロボクサーとして、また一方では信用金庫の営業マンとして、2足のわらじを履く吉野太郎。当初は昼の仕事と夜の練習の両立の難しさが切々と語られていたが、次第に勝負に命を削る男の情熱や激しい男女の情念が描かれるようになった。やや勢いが空回りしていて、まとまりに欠ける点が残念。ビジュアルもだんだん荒くなってきている。〔w〕