六田 登  Rokuda Noboru
少年誌でも少なからぬヒットを飛ばしており、さらには絵本なども描いたりしているのだが、本領を発揮したのはやはり青年誌。気軽に読むことができるエンターテインメント的な作品とは対極に位置するような、人生をテーマにした、心を深く掘り下げるシリアスで前衛的な作品が目立つようになった。荒々しいというよりもむしろ粗野と言うべき画風で、冒険心、野心から男と女の情欲までを熱く熱く語るのだが、決して即発的、触発的なものではないその熱さはまるで体の内部からこみ上げてくる血の塊のようだ。情熱やロマンという枠を越え、常に何者かに追いたてられているかのような鬼気迫る迫力がある。
F <エフ> ★★★★★★★★
連載 小学館『ビッグコミックスピリッツ』 単行本 小学館ビッグスピリッツコミックス[全28巻]
小学館文庫[全18巻]
地元の名士赤城総一郎の庶子軍馬は、モータースポーツの道を志す。サーキットという閉鎖的な世界に賭ける男たちの周囲に男女、兄弟、親子といった様々な人間関係の渦巻く様子が熱っぽく描かれる。その迫力に圧倒されてしまい、時に息苦しくも感じてしまうが、登場するキャラクターたちの苦悩や葛藤、執念にはリアリティを超越した壮絶な世界がある。〔w〕
TWIN ★★★★
連載 小学館『ヤングサンデー』 単行本 小学館ヤングサンデーコミックス[全5巻]
精神に異常のある母親を抱え、自分自身の死への願望も抑えきれない月野ヒョウに内田響は好意を持った。重苦しいムードがただようシリアスなストーリーで、サーキット内のバイクレースのシーン以外は暴力やレイプ、ドラッグなど暗いイメージのオンパレード。悲壮感を演出しようとする意図は分からないでもないが、やや匙加減を誤った格好だ。〔w〕
ICHIGO[二都物語] ★★★★★★
連載 小学館『ヤングサンデー』 単行本 小学館ヤングサンデーコミックス[全10巻]
幼い頃に麻疹と共に併発した急性肺炎で肺を一つ切断した梅川一期は、胸に残る大きなキズに常にコンプレックスを持っていた。複雑な家庭環境をバックに人間の狂気を忌憚なく描いた歴史ロマンだが、暗い雰囲気が延々と続くのがちょっと辛い。欠点はそれほどみられないのだが、強烈に読者を惹きつける魅力やインパクトには欠けてしまった。〔w〕
獅子の王国 ★★★★★★
連載 小学館『ビッグコミック』 単行本 小学館ビッグコミックス[全3巻]
現代と古代フィレンツェの2つの舞台を2元的に構成したストーリー。ヨーロッパ留学中のコージという青年と、ミケランジェロの弟子アスカーニオをリンクさせて話は進むが、内容の深い濃密なシナリオに仕上がっている。比較的描きづらい古代の世界を通常通りの描き方で表現するが、不思議と違和感が無い。センス溢れる装丁もなかなか魅力的だ。〔w〕