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おいしい関係 (2000.2.16)〔w〕 |
| 作 者 |
槇村さとる |
| 連 載 |
集英社『ヤングユー』 |
| 単行本 |
集英社ヤングユーコミックス[全16巻]
集英社漫画文庫[全10巻] |
| ストーリー |
父の突然の死で、典型的なお嬢様藤原百恵は母と二人きりになる。本物の味をずっと味わってきた舌はすでにレトルト食品など受け付けず、金銭感覚のない母親に悩む百恵がたまたま入った「プチ・ラパン」はリーズナブルな価格の庶民的なレストランだった。大学を中退し、百恵は「プチ・ラパン」のシェフ織田圭二の元で見習いとして働くことになる…… |
| 設 定 |
一見すると料理マンガのようだが、実際には人間関係の機微を綿密に描いたヒューマンドラマだ。百恵と織田、可奈子との恋愛問題ももちろんその中心ではあるのだが、注目したいのは途中アムールにサブシェフとして入った日比野ミキの存在。彼女の強い性格が影響した面もあるが、百恵や高橋との絡みで特に感情的な人間模様が描かれたことでドラマ性は少なからず増大した。これはタイトルにも如実に反映されていて、あくまで料理は題材であり、「関係」が主体、テーマであることを表現している。作品の全編をにらんだ上でネーミングされた、実に高質なタイトルではないかと思う。 |
| シナリオ |
冒頭からいきなり波乱含みで始まるが、全体的にバランスはいい。百恵がプチ・ラパンからアムールへ移り、さらに織田がセルドールを開業する辺りまでは何の問題もなく展開していくのだが、残念ながら終盤で躓いた。明らかに可奈子の存在が大きくなりすぎて織田や百恵にそれを解決することはできなくなっている。そのため過剰に千代バアの登場機会が増大し、一方で高橋の存在感はどんどん薄くなっていった。一度消えかけたミキや木村を再び登場させ、さらにドラマ性自体は上手く機能させているだけに、細かい破綻がどうしても目に付いてしまう。 |
| キャラクター |
全般的に無難に落ち着いた。主人公百恵も現実に即してみれば個性的な人間の部類に属するのだろうが、ストーリードラマの主役としてはまずまず平均的なキャラクターであるし、脇役陣に飛び抜けた個性が存在するわけでもない。辛うじて千代バアと母淳子が独特の雰囲気を作り出しているが、織田と比較の対象として置かれた高橋にしても百恵の対極に置かれた可奈子にしても、恋愛要素を盛り上げるための存在にすぎない。存在するだけで読者を引きつけるだけのキャラクターはなく、インパクトはないがマイナス要素もない秀才タイプのキャラクター作りに終始している。 |
| グラフィック |
一般女性向けの作品独特の絵柄だが、その輪の中に入ってしまえばそれほど違和感を感じる存在ではない。構図の使い方や絵柄自体に問題はなく、読んでいてストレスを感じない。白眉はバックの描き方で、全体的に白い部分が目立つだけに時折登場するべた塗り(主にショックを表現するカットに使われている)が逆に新鮮に映る。人物以外に凝った書き込みを行っていないが、その物足りなさを上手くテクニックで補っている格好だ。 |
| 装 丁 |
特に個性的な部分は感じられない。全巻通して白を基調に描かれた表紙は、おそらく男性には抵抗感があるだろうがまずまず無難な範囲であるし、何より題字のデザインが秀逸。さらに無難な背表紙・裏表紙も文句を付けるものではないが、残念なのが一冊あたりのページ数。一巻一巻ばらつきはあるが、B6版で200ページあまりというのはちょっと少ない。販売部数との絡みもあろうが、もう少し良心的な製本を望みたい。 |