|
 |
め組の大吾 (2000.3.1)〔w〕 |
| 作 者 |
曽田正人 |
| 連 載 |
小学館『週刊少年サンデー』 |
| 単行本 |
小学館少年サンデーコミックス[全30巻]
小学館少年サンデーコミックスワイド版[全20巻] |
| ストーリー |
子供の頃火災で消防士に助けられた朝比奈大吾は、高校を卒業し念願の消防士になった。大吾は中央署めだかヶ浜出張所、通称”め組”に配属されるが、五味所長を始め所員はみんなのんきそうに見えた。”めでたい”、”めったに”火事のでない”め組”と言われ、現場で活躍する事を夢見ていた大吾はだまされたと思うが、いざ出てみた現場は想像を絶する世界だった…… |
| 設 定 |
盲点をついた絶妙な舞台背景だとは必ずしも言い難い。斬新なテーマであるとの評価はあくまで充実した内容によって生み出された後発的なものであり、いわば成功したからこそ出てきた意見であろう。しかし実際に成功したこの作品を読み終わってみると、その圧倒的な完成度に威圧されてしまう。五味・甘粕・神田・忍足といった後々キーマンとなる人物を、連発することも出し惜しみすることもなく適当なタイミングで登場させる腕前は文句の付けようが無く、タイトルに象徴された人物像を遙かに越えてしまった主人公に対し、シナリオで上手くカバーしてまとめ上げた。非の打ち所のない絶妙の内容に終始していて、ただただ作者に賞賛を送るのみだ。 |
| シナリオ |
真実・現実を描くノンフィクションが至高のリアリティを生み出すものとすれば、フィクションはそのリアリティとロマンの間でバランスを取っている。この作品はシナリオ的に一方の極であるノンフィクションとかなり接近している印象を受ける。綿密に行われた取材の賜物か、消防に関する内容はかなり真実味があって引き込まれるし、主人公たちが葛藤する様々な苦悩も理解可能な範囲の中で徹底的に掘り下げられており、絶妙なバランスの中でコントロールされている。ストーリーが大袈裟になっていかないようにそれなりに厚みのある試練内容を冒頭から登場させ、それらを解決する手段にきちんとリアリティを持たせることも忘れない。正統派ドラマの完成型の一つに限りなく近い、上質で魅力的なシナリオがここにある。 |
| キャラクター |
主人公は主人公として、脇役は脇役として、その中でもキーマンはキーマンとしてハッキリと描かれており、それぞれ印象度・存在感と比例した活躍の仕方がきっちり表現されている。大吾は全面に、落合・五味・甘粕・神田・忍足・ジュンなどは上手くキーポイントで現れ、植木や平といったあたりもそれぞれ分に相応した登場をしていた。残念だったのが途中からすっかり存在感を失ってしまった記者の丘野だが、これも強いてあげればといった程度のものであり、全体的に破綻は限りなく少ない。 |
| グラフィック |
決して「綺麗」「丁寧」といった部類の絵ではない。完成度はそれほど高くなく、それだけに多少評価は下げるだろうが、作品で最も重要な「迫力」を描く上では申し分のないタッチだ。特に設定上数多く登場する炎・煙・諸々の焼けたもの・焦げたものを描く腕前はなかなかのもので、特に煤の付いた消防服や数枚のトーンを重ね合わせて表現される煙の様子などは非常にレベルが高い。カット割りも奇を衒ったものではなく、あくまで読みやすい基本の延長線上にあるもので、抵抗感を持たせずに深い内容を表現する基本姿勢に揺るぎがない。 |
| 装 丁 |
いわゆる少年マンガサイズの新書版ではこの作品の魅力を十分に伝えられていない。表紙画も単調で、工夫のないのが残念だ。一方で消防の諸道具を解説した裏表紙はなかなか新鮮で面白く、味のあるタイトルロゴ、黄色で統一されたバックなどなかなか素晴らしい部分も多いのは事実だ。作品内容の完成度に比べれば見劣りするが、まずまず許容できる範囲に落ち着いている。 |