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AKIRA (1999.8.4)〔w〕 |
| 作 者 |
大友克洋 |
| 連 載 |
講談社『ヤングマガジン』 |
| 単行本 |
講談社コミックデラックス[全6巻]
【国際版】講談社ヤングマガジンピース[全12巻]
【復刻版】講談社アニメコミックス[全6巻]
【総天然色】講談社刊[全6巻] |
| ストーリー |
1982年、関東地方で使用された新型爆弾は東京をほぼ壊滅状態にした。これが引き金となって第3次世界大戦が勃発。それから38年後、東京湾を埋め立てて作られたネオ東京で金田は暮らしていた。いつものように仲間とバイクで暴走していたが、背が小さい変な人のせいで友人の鉄雄が大怪我を負う…… |
| 設 定 |
いわゆるサイバーパンクの流れを作り出した独創的な舞台設定をまずは評価したい。政府やゲリラからアーミー、米軍、宗教まで、こういった系統の作品における構成要件を全て登場させ、ジャンルそのもののベースを完成させたその企画力には脱帽だ。ただ、なにぶん読者を選ぶものではあるので、苦手な人には全く受け付けない世界であろう。ただ、これを受け入れられるゲーム世代、アニメ世代のことを考えると、既に価値観が崩壊し、現実との認識比較が曖昧あるいは困難になっていることをリアルに露呈させているようで、非常に攻撃的な作品にも映る。 |
| シナリオ |
淀みない流れは有り難い。特にサイバーパンク系の作品に多い、支離滅裂のストーリーや、無意味に横文字などを並べ連ねた難解なネーム(高度という意味ではなく、むしろ面倒)などは見あたらないし、近未来を描いているからといって、イタズラに無機化(例えばキャラクターを記号化、数値化するなど)することも少ない。特徴は特徴として生かしておきながら、それに伴う弊害は極力避けようとする姿勢が伺える。 |
| キャラクター |
ストーリーがシリアスなだけに、特別に個性的なキャラクターは見あたらない。しかし反面で、キャラクターから作者の様々な思惑が伺えるのが非常に興味深い。
特に気になるのが金田を筆頭とした、あまり良心的ではない(むしろ身勝手)な若者たちが非常に目立っている点である。通常、シリアスなストーリーでこのタイプのキャラクターがメインを張る場合、その傍若無人な性格が様々な試練で構成される様子を描くのが順当であるが、結局金田はアキラや鉄雄、あるいは米軍などの圧力から脱却しても、根本的な考え方はほとんど変わっていない。これはこの作品が一般的なストーリー漫画と一線を画す特徴的な要素となっているが、一方、キャラクター自身の陶冶が具体的に示されないことでエンタテインメントとの差異を明確にする為の不可欠な要素であるメッセージ性が欠落してしまった。もちろんケイたちとの出会いで男女間その他の人間関係を、また様々な闘いの中で精神的な修養を重ねてはいるわけだが、それも全て自分のごく近くの問題について処理しているだけで、社会全体に対すて想いを馳せる段階まで昇華されてはいない。極端に言えば、ビジュアルや迫力、雰囲気(特にこういった破滅的な世界観を無条件に好む読者も最近は多いだろう)といったもの、つまり古い言い方で恐縮だが、いわゆる「ヤオイ」に限りなく近い状態になっているのではないかと思う。キャラクター自体も当時としては斬新でバランスのとれたものあったとしても、現在ではさしてインパクトを持つものとも言えず、時間を経過するたびに評価が落ちてしまう典型的なタイプの作品ではないだろうか。 |
| グラフィック |
作者の作品が「映画的」と評されるのは、その絵柄によるものが多いのではないかと思う。巧みな画力、緻密な描線など確かに非常に質の高いテクニックが全編に渡って見られるが、あくまでもこれはカットを個別の絵として見た場合である。静止画である漫画を映画的である(要するに動画的である)とするには、各カット間でそれを匂わす表現が必要であると思うのだが、残念ながらこの作品にはそういったテクニックはほとんど発揮されていない。つまり、よく小説で「行間を読む」といったような「カット間を読む」ということがほとんどできない状態であるわけで、なまじ各カットが精密に描かれているだけに、それらの構成にも期待を掛けてしまうのだ。
もう一つ気になったのは、妙に多用されているスピード線。手書きにこだわる作者の意欲は十分に伝わっているが、何でもかんでもバックにスピード線を使うのはどうだろうか。カケアミの多用や数頁に渡って薄いトーンが全面にかかっていることで全体が妙に黒ずんで見えてしまったり、激しい動きの迫力は申し分なくても反対に静けさが上手く伝わらない(つまり「動」は良くても「静」の表現が今ひとつ)など、青年マンガの悪い点が露骨に出ている点も気にかかる。 |
| 装 丁 |
B6版で単行本が登場したときのインパクトは大きかった。評判になったアニメとの相乗効果もあるだろうが、この大きさで緻密なグラフィックを味わえるのは有り難い。もちろんその分価格も跳ね上がっているが、単行本そのもののクオリティから考えると妥当な値段だろう。上下側面に塗られたカラフルな色やレベルの高いカバーイラストなど、魅力は十分。 |