きまぐれオレンジ☆ロード (2000.4.26)〔w〕
作 者 まつもと泉
連 載 集英社『週刊少年ジャンプ』
単行本 集英社ジャンプコミックス[全18巻]
集英社愛蔵版コミックス[全10巻]
集英社漫画文庫[全10巻]
ストーリー  父と2人の妹の4人で引っ越してきた春日恭介は、実は超能力を持っている。引っ越してすぐの日、恭介は近所の石段を登っていくと上から赤い麦わら帽子が飛んできた。帽子の持ち主の美少女にときめく恭介だったが、翌日、学校で今度はショートカットの女の子に出会う。活発で元気な檜山ひかるに好かれる恭介だが、ひかるの姉貴分があの麦わら帽子の少女、鮎川まどかであることを知り……
設 定  恋愛マンガの定番といえる3角関係もここまで徹底的に描きぬくと珍しくなる。最後の最後まで続く恭介・まどか・ひかるの3竦み状態が話の中心となって推移して行くが、こうしてテーマを徹頭徹尾限定したことである種の安心感が生まれた。こうなってくれば読者も「お約束」がわかってくるし、そうなれば一見陳腐な恋愛ドラマでも立派なコメディとして成立していくのである。必要以上に欲を出さなかったことが良い結果につながった一つの好例だろう。
 問題なのはもう一つの重大様子である「超能力」の存在。たしかにこれがないと恭介が限りなく情けない男になってしまうのだが、あったらあったで恋愛要素が強すぎて、存在自体が影の薄い物になってしまっている。通常それ自体が物語の主体となるほどインパクトの強い「超能力」という設定をバランスよく組み込んでいくのは至難の業であり、結果的に恋愛の補助的な設定とするにはあまりにも重すぎた。要するにあってもなくても問題が残る設定なので針小棒大で困ったところなのだが、大きな不満が残るわけではないのでまあ現状のままでいいのかもしれない。
シナリオ  非常に前時代的なストーリーが延々と続く。いわゆる「クサい」展開のオンパレードで、読み返してみるとその大仰な表現に辟易してしまう。しかし、現在のラブコメの「クサさ」とは違ってストーリーが安易なわけではない。ただただ展開がとにかく古典的で、古臭いだけなのだ。そのため、それはある年代以上の読者には懐かしさを覚える性質のものになっているかもしれないし、また若い読者は敢えてその点に目をつぶれば面白く感じるものなのかもしれない。
キャラクター  3人の主人公のキャラクターは絶妙で、全編に渡ってバランスの良さが目立つ。これが連続したストーリーコメディであったならこうはいかなかったわけで、結果的にオムニバス形式にしたことは大成功であったといえる。徹底して優柔不断な恭介、古風で控えめなまどか、明朗快活なひかると明確なキャラクターが確立されている3人に加え、どちらかというとまどか風の妹まなみとひかる寄りのくるみ、要所要所に登場するabcbのマスターとどこまでも軽薄な恭介の友達。シンプルでわかりやすいキャラクター設定が、軽いコメディと見事にマッチした。
グラフィック  いわゆるラブコメらしい絵柄で、個性的な2人のヒロインがそれぞれ個性的に描かれる。背景には取りたてて目を引く部分はないのだが、気楽なエンタテインメントとしてはスタンダードなスタイルだろう。問題なのは、最初と最後であまりに落差の大きい絵柄。もちろん連載途中に絵柄がかわっていく作品は少なくはないが、ここまで変遷が激しいとちょっと難がある。確かに後半の人物描写はなかなか魅力的だが、それだけですべてを補うことはできなかった。
装 丁  特にタイトルのロゴは当時としては斬新な物であった。それは現在見ても遜色ないものだし、何より表紙のカラー絵は非常にハイセンスだ。背表紙の絵はまあなんだかよくわからないが、全体的にまずまずのできに仕上がっていると云っていいだろう。特に13巻・18巻の表紙は秀逸。