アイドルを探せ (2000.5.10)〔w〕
作 者 吉田まゆみ
連 載 講談社『Fortnightly mimi』
単行本 講談社コミックスミミ[全10巻]
【番外編】講談社コミックスミミ[1巻]
講談社漫画文庫[全6巻]
ストーリー  東京生まれ、東京育ちながら、父親の転勤で藤谷知香子は一人暮らしを始めるようになった。アパートの2階に住むバスガイドの武原千明や同じ大学に通う漫画家志望の甘露寺恵など清和荘に集う3人を中心に描く。「おのぼりさんツアー」で知り合った岩田と中学の同級生だった永江の間でゆれるチカだが……
設 定  風化の仕方がすごい。一昔前の作品でも時の流れにある程度へこたれないものが多いのだが、この作品は死語と流行遅れのオンパレードになってしまった。もちろんそれは当時の最前線のセンスを追求した結果によるためで、責められるべきものではない。むしろ「当時の流行を考える」といった斜に構えた読み方をされる恐れがあり、作品の全体像がおざなりにされそうで危惧されてならない。
 内容は当時の女子大生ブームに乗っかった舞台設定が面白い。もちろんシニカルに読めばただの死語連発ドラマだが、実際のところはなかなか微妙な設定が絡み合っていて興味深い。おしゃれでもダサくもない、中庸(?)な状況が非常にいい味を出している。
シナリオ  絶品、とまではいかないが、男女の機微を絶妙に描いた佳作であることは間違いない。漫然と主人公たちの生活が描かれているような印象も受けるが、実際の所はありふれた舞台に見せる努力が随所に見られる。ドラマティックでドラスティック、余分な部分はカットしてテンポをあげる。ポップな恋愛ドラマの基本を忠実に守った、気持ちのいいストーリーだ。
キャラクター  「使い捨て」キャラクターが意外に少ないのが嬉しい。ニックや安西まどかくらいのもので(といっても彼らが活躍する期間もかなり長かったのだが)、永江くんから笑子まで忘れた頃に再登場するキャラが多い。
 注目したいのは、主人公チカがショートカットであること。永遠に風化しない髪型でもある短髪は「流行に流されない」チカのキャラクターを際だたせている。もちろんこれは岩田にも共通することで、姿形で個性が滲み出ている様子を上手く表現しているのだ。
グラフィック  めずらしい「中だるみ」型。連載初期と後期は比較的絵柄がまとまっていて、中盤にやや難がある形だ。如実に現れているのがチカと千明で、描線の影響が大きいように思う。ただ全般的に微妙な絵柄なので、あまり絵柄の変遷自体に深刻な問題はない。
 一方で人物の描き方には賛否がわかれるところだろう。慣れてしまえば問題ないのかもしれないが、細い線で二重三重に描き込んだ描線には抵抗感があるかもしれない。女性向き漫画では定番ともいえる真っ白い背景も前半はいいのだが、中盤以降次第に目に付いてくる。もっともこれは背景が真っ白なのに、何故か全体的に黒ずんでしまうというギャップのせいで、むしろ人物描画の方に問題があるのかもしれない。
装 丁  シンプルでいい。背表紙はややシンプルすぎるが、表表紙はお馴染みのキャラクターに無地のバック。個々のキャラクターが非常におしゃれで気持ちいい。何故永江くんが2巻なのか、と言う疑問は置いて、裏表紙のよくわからない絵とコピー(沢野ひとしかと思った)も味が出ている。ちなみに番外編は「集合写真」。