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サイレントメビウス (2000.6.21)〔w〕 |
| 作 者 |
麻宮騎亜 |
| 連 載 |
角川書店『コミックコンプ』『コミックドラゴン』 |
| 単行本 |
角川書店コンプコミックデラックス/ドラゴンコミックデラックス[全12巻]
角川書店カドカワコミックスドラゴンJr.[全15巻] |
| ストーリー |
妖魔が頻繁に登場し混乱を極める未来東京に、特殊能力を持った女性だけの警察組織「AMP」が結成される。様々な事件に巻き込まれるAMPのメンバーだが、その血に因縁が込められれている香津美リキュールは次第に事件の鍵となっていく…… |
| 設 定 |
近未来のアクション、魔物に魔法に超人的能力と、典型的なサイバーアクション。だが、盛り上がりのないストーリーや没個性的なキャラクターを引き替えにして、それなりに凝った舞台背景を作り上げている。問題なのはそんな設定を上手く説明できていないところで、そもそもAMPがどんな組織かがわかりづらいし、メンバーたちの背景もあまりに謎が多すぎて不良消化だ。謎めいた設定で読者の好奇心を煽ろうというつもりなのかもしれないが、あまりに不親切な内容には問題が多い。 |
| シナリオ |
おそらくシナリオの完成度など問題ではないのだろう。イメージと雰囲気先行のサイバーパンク系の作品に往々にしてありがちな現象が起こっている。もちろんそれらの作品の中でもかなり初期の頃から連載が開始された作品であるので追随的なイメージはないが、だからといって独創的な工夫があるわけでもない。
それでもコメディの要素が多分に含まれていた前半はまだ良かった。これがシリアスな展開を浴びせかけて、全く気も抜かせないように迫力と緊迫感だけを表現されるようになると、もはや受け止められない。本当にこの手の作品を必要としている人々以外は完全に排除しようとしているかのような、閉鎖的で排他的な表現が繰り広げられる。 |
| キャラクター |
ネーミングの安直さはマンガ全体の問題で、この作品に限ったものではないとも云えるが、それにしても酷すぎないだろうか。漢字とカナ、和名と洋名を混合させているのは、近未来の多国籍化した東京を表現したいのかと思われたが、そんな雰囲気はこれっぽっちもない。巻中のネタバラしもいいが、いい加減なキャラメイキングにするならそれなりにマッチした表現を行って欲しい。
特別に際だったキャラクターは見受けられない。登場するのは女性がほとんどなので、たまに出てくる男性キャラクターに期待したが、これも期待はずれだった。何が魅力なのか具体的に説明しづらい、難解な世界観だ。 |
| グラフィック |
長期にわたる連載と掲載誌の変更、映画化に伴うビジュアル重視の傾向と、絵柄を変化させる要素は多分にある。このような傾向はサイバーパンク系の作品に共通するものではあるのだが、それにしてもお粗末だ。連載当初から新感覚のグラフィックを志向していたのはよくわかるが、結果的には若者に(それもごく一部の)限定されたエンタテイメントであると断じなければ何も語れないような、排他的な表現が繰り広げられる。直線的な背景、ゲルと光線の戦闘シーン、ピンポイントの読者のみを喜ばせる、典型的な娯楽作。
そんな絵柄を無視してみても、決して上質な行現が繰り広げられているとは云えない。特に工夫の見られない構図はその典型的な例だ。臨場感を表現したいのか、迫力をアピールしたいのか、とにかくアップのカットが多すぎる。状況を把握させようとする俯瞰の構図はなく、それらしきものはほとんどがナメ(手前に物体や人物をおいて対象物と比較させる)になっていて、かえって圧迫感がある。よく言えばアニメ的だが、決してマンガとして見やすい表現とは云えない。 |
| 装 丁 |
ビジュアル的にアピールする鋭的なデザインだが、これはなかなか格好いい。シャープな作品スタイルにピッタリのハイレベルな装丁だ。カバーの材質にこだわってもいいかとも感じたが、中表紙のセルまで工夫されていることを考えれば、十分すぎるほどのクオリティが達成されていると云えよう。 |