ミラクル☆ガールズ (2000.12.20)〔w〕
作 者 秋元奈美
連 載 講談社『なかよし』
単行本 講談社コミックスなかよし[全9巻]
ストーリー  姉はスポーツ万能、妹は頭が良く、実験が大好きとまるきり性格の違う双子の姉妹ともみとみかげは、2人で力を合わせると超能力が使えるエスパー。別々の学校に通う2人だったが、みかげが苦手とする球技大会にともみが入れ替わって出場することになる。入れ替わったともみは、みかげが嫌う同級生の野田、科学部の先輩倉茂、担任の影浦などに出会うのだが……。
設 定  2人が力を合わせて超能力を生み出すという設定は、なかなか面白いと思う。確かに「ありがち」ではあり、それほど新鮮味を感じるものではないが、双子というバックグラウンドに上乗せしてみるとそれなりに映えて見える。また、ともみとみかげを「武と文」という非常にわかりやすいファクターで表現したことには注目したい。あわせて生まれた力がどんなものかが容易に推測がつき、メインターゲットの若年層には特にマッチする設定であるといえるだろう。細かいところを指摘すれば、きりのない程の欠点が露わになるのだが、設定面と云うよりはむしろシナリオによる齟齬の方が目立つため、トータルで見ればこのままでいいのかもしれない。
シナリオ  章立てしている点に注目したい。流れが寸断されるこの形式が、果たしてこの作品に相応しかったかは判断しづらいが、長短それぞれが顕著に現れているのが面白い。主人公ともみの恋愛が中心の第1部、みかげの恋愛を描いた第3部に対して、第2部はメインキャラクターを芯に据えたシナリオではない。そのため、極端に存在意義の薄い第2部には高村という無理矢理にでも価値観を附随させたキャラクターを登場させざるを得なかった。それによって第2部はそこそこ鑑賞に堪えられるものになったが、第3部、あるいは全体的なバランスで考えると深刻な虚構感が感じられる。
 全く統一感のない展開はそれはそれで興味深かった。当初、別の学校であったともみだったが、高校から他のキャラクターと同じ学校に入ってしまう。それまでの過程を描くことで、多少の恋愛ドラマは生まれたが、ともみと野田があえない故に野田とみかげの間に何らかのドラマ(決して恋愛に限ったものでなくてもよい)が生まれる、という可能性は消し去られてしまった。とってつけたような理由はくっつけてはあるが、当初みかげと野田がこじれていた訳の説明は明らかに不足しているし、同時に野田と倉茂の関係も稀薄である。いきなり違う学校に入った割には妙に違和感なくともみも逆に不自然であるし、まとまりに欠ける場面は少なくない。
キャラクター  個々のキャラクターづけは比較的はっきりしていてありがたい。しかし、今ひとつ個性を発揮できない野田、少女漫画に出てくる典型的な「憧れの先輩」である倉茂、いかにも王女らしいマリエなど、今ひとつ既成のワクから脱却できないでいるキャラクターが多い。当初はマッドサイエンシストぶりを存分に発揮していた影浦のアクも次第になりを潜め、ミスターXのポジションも中途半端なままだ。
 また、章立てしたことが裏目に出たか、使い捨てのキャラクターが非常に目立ってしまう。影浦は性格を転換させることで生き延びさせたが、結局あれだけのインパクトがありながら、第2部のみの登場となってしまった高村とナナ、第1部でキーマンとなる期待を抱かせるだけのポジションで終わった青木、遊びのエッセンスとしても中途半端だった大乗寺など、とにかくまとまりのなさが目立つ。4人のメインキャラに、シナリオ的にもキャラクター的にもおんぶにだっこで終わってしまった格好。
グラフィック  無難と言えば余りに無難。大きな目、2人のヒロインはロングヘアとショートカット。わかりやすくもありきたりな絵柄のオンパレードで、ひたすら少女の夢を描く。没個性的といっては言い過ぎかも知れないが、大きな特徴を見つけだすことが出来ない。それが男性であればなおさらのことだろう。
 細かい点を着目してみると、口を閉じたときのキャラクターが面白い。正面からの画に限られるが、通常に比べてやや口を小さく描いている傾向が伺える。微妙に困ったときの表情などがリアルに伝わっていて、好感が持てた。
装 丁  カバー画は割と平均的な絵柄で、ヒロイン2人を無難に描いているし、背表紙は定型なので工夫の余地がない。これ以上を目指すとすれば、タイトルのロゴ以外になかったのではないか。欧米のSF映画の和訳版のような妙に不自然なロゴの狙いが全くわからない。決して格好良さを求める作品ではないはずで、違和感を感じずにいられない。表表紙の「Koudansya Comics」という文字の方が、まだいくらかスタイリッシュなほどだ。