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実録企画モノ (2001.1.17)〔w〕 |
| 作 者 |
卯月妙子 |
| 連 載 |
太田出版『漫画EROTICS』 |
| 単行本 |
太田出版コミックス[1巻] |
| 設 定 |
アダルトビデオをはじめとする性風俗業界が社会の最端部にあるとすれば、この作品もまさに漫画界の最端にあるといえる。内容はとにかく評価の別れやすい作品。おそらく作者の実体験とさほど変わらない内容を紙にぶつけているのだろうが、とにかくその過度に読者を刺激する強烈なアクに圧倒される。決してそれは表現的なものではなく、まさしく作者自身が自ら体験しているであろうものに対する威圧感や虚無感であり、実体験であるのならばそれを否定することは誰にも出来ない。読者は皆、とにかくただ圧倒される以外ないのだ。
しかしそこから、あるいはその強烈な世界観にのめり込み迎合するか、あるいは嫌悪を持つことでそのステージ自体を否定してしまうか、あるいは可能な限り平静を保ちながら、もしくはそれを装いながら淡々と可否を判別していくか。どの方法を採っても構わないが、読者は総じてその3極に流れ出すことだろう。それが「賞賛」と「否定」、「無視」という非常に解りやすい評価となって返ってくることは、想像に難くない。 |
| グラフィック |
絵の上手さなど欠片も必要としない内容ではあるのだが、本来丁寧であるならばそれに越したことはないはず。しかし、見事なまでに汚い。作者自身の姿くらいは丁寧に書けば良さそうなものだが、そういった部分的な見どころもない。執筆時のテンションが違っているのか、各話ごとに明らかにタッチが違ったりもしている。一般庶民に読んで頂くのは(最初から放棄しているにせよ)もう完全に不可能だと断定できる。
コマ割りにも全く工夫はない。少ないときは2段、最多で7段と全く一貫性がないうえ、それが内容の多寡と連動しているところが、なんとも凄まじい。つまり色々ネタがあって、すし詰めにしなければならない時はカットを細かくし、そうでもないときには大きくなる。カットの流れが悪くなる(要するに左に向かえばいいのか下に向かえばいいのかが一見では分からない)箇所はかなり煩雑に出てきており、それが見開きのページで行われている(左右のページの枠線が同じ高さで揃ってしまっている)所などはもはや弁解のしようがない。とりあえず時間経過を表す「コマ間隔」など基本を抑えた箇所も見られるが、メジャーでないエッセイマンガの短所を顕著に露呈していることは否めない。
しかし、とにかく臨場感を追求したと主張するのならば、当たっていないこともないだろう。内容が狂気じみているのならばそれに見合う、爆発的なテンションを要求されるだろうし、十分なパフォーマンスが紙上で繰り広げられている。絵の面だけでこの作品を否定することは出来ないし、おそらくその必要もない。 |
| 装 丁 |
よく見ると単調ではあるのだが、内容の割りには凝った装丁。表紙と裏表紙のカットも悪くなく、全く気合いのないタイトルも内容に合っている。通常はタイトルの上にシリーズ名を入れるものだが、なんとこの作品には「タイトルのルビ」がローマ字で入っている。中小出版社ゆえの涙ぐましい努力とでもいおうか(失礼!)、一般的なエッセイ漫画と遜色ないものに仕上げようという意気が感じられて気持ちいい。そして実際に十分以上の出来に仕上がっている点は積極的に評価されるべきだろう。
さらにとどめをさしているのが、表紙の「文章」。中身の概要を表表紙に堂々と書き上げるいうのは、例を見たことがない。おかげで読者は内容を「覚悟」してから読むことが出来るし、デザイン的にもいいアクセントとなっている。全般的にバランスのとれた良い表紙だ。 |