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あばれブン屋 (2002.4.28)〔w〕 |
| 作 者 |
猿渡哲也 |
| 連 載 |
集英社『ビジネスジャンプ』 |
| 単行本 |
集英社ヤングジャンプコミックスBJ[全13巻] |
| ストーリー |
アカツキ新聞の記者、早乙女文矢は熱血漢の新聞記者。新聞社の「死体置き場」と呼ばれる資料部に配属されていたが、殺人事件に関わることになり……。 |
| 設 定 |
ややオールドファッションの「硬派」がウリの主人公、今日では脚光を浴びることが少ない「新聞記者」という職業、そしてややもすると話が暗くなりがちな社会事件。一見するとちぐはぐな要素が絡まっているように見えるが、どっこいこれが上手く機能している。成功の原因は間違いなく「徹している」ところだろう。現実的に考えれば新聞記者がこれほど傷害・殺人事件に関わる事などあり得ない(そもそもこれほど殺人事件が起こるはずもない)。しかし、この古臭いノリは決して悪い「不自然」ではないし、読者もそれを承知の上で読めるように描かれている。暴力が過剰に描かれている点が気になる面もあろうが、なにせタイトルで「あばれ」ているのだから、これはもうそういう設定なのだ。 |
| シナリオ |
事件モノの常道である通り、エピソードを重ねていく構成だが、そもそも連続したストーリーにすると1つの事件だけで描かれることになってしまうのだから、これはもう仕方ない。実際、重苦しい場面展開を切ったり、新しいキャラクターを登場させたりと、これを上手く利用しているのだから、むしろ積極的に評価したいところだ。ただ、どうしても意外性に欠けるストーリーになってしまうのは否めないところで、ちょうどテレビの刑事ドラマと似たマンネリズムが少なからず存在している。
しかし、個々のエピソードを爪弾いていくと、質の高さは見て取れる。意外性の多寡が満遍なく散らばって、僅かな伏線を有効に利用する。エピソード自体の長さも長短入り乱れており、終わりがどこにあるのかわからない。「焦らし」とは違い、楽しくドキドキさせてくれる構成の妙が嬉しい。 |
| キャラクター |
主人公文矢は、これでもかというほど典型的な「漢」だ。このキャラクターを中心に据えようとする意図は解りすぎるほどわかるし、それはそれで尊重されてしかるべきだろう。決して文矢というキャラクターを過剰に利用しているわけではないし、頼り切っているわけでもない。ただ、脇の甘さはどうしても目立ってしまうのだが、これはもう副作用としては仕方のないレベルだろう。
唯一の不満は、ひかるというキャラクターが今ひとつポジショニングが悪いところ。登場以前の文矢との関係がわからないし、麻美が出てきたことでますます役割が解らなくなった。文矢と男女を意識した関係でないことは解る。だが、必要以上に文矢と仲が良く、文矢に協力している理由が解らない。その辺りを解決するためにも、文矢になにか「プラスα」の特徴があっても良かったのではないだろうか。途中「なにやってるんだろ」とひかるがぼやく所があるが、あるいはこれをもっと目立たせても良かったのではないかと思う。わずかに必然性に欠けているのが残念だ。 |
| グラフィック |
「迫力」と言うよりは、どぎつさが目立つ濃い絵柄。しかし、整然と描くところは整然としているし、あるいは事件シーンはこれくらい濃密な方がいいのかもしれない。一部には受け付けられなくとも、圧倒的なインパクトを優先させようとするスタイルは十分に理解できる。
男と女の描き方が妙に差異化されているように見えるが、それは男をより男臭く描いているからだろう。それゆえに登場する男性キャラがみな揃いも揃って格闘技をやっているようなごつい描かれ方になっているが、これには賛否両論あるだろう。 ただ、重箱の隅をつつくようだが、1点どうしようもないミスがある。麻美が死んで、原稿用紙に記事を書いている文矢だが、なぜ縦書きの原稿用紙に「左から右」に書くのか。「疑問点」はあっても「ミス」は少ない、誠実な描かれ方であるだけに、細かい破綻が残念に映る。 |
| 装 丁 |
1巻の表表紙はやや「やりすぎ」の感もあるが、全体的にはシンプルかつ大胆でまとまっている。薄丸明朝体のタイトルも存外味があり雰囲気を出しているし、表表紙のカット抽出である裏表紙もそれとは気付かないくらいうまいトリミングとなっている。後半の巻は妙にカメラ目線の構図が多くてワンパターンだが、シンプルな背表紙といい、まとまりは抜群だ。 |