課長島耕作 (1999.11.29)〔w〕
作 者 弘兼憲史
連 載 講談社『週刊モーニング』
単行本 講談社モーニングコミックス[全17巻]
講談社漫画文庫[全17巻]
講談社コミックスデラックス[全8巻]
講談社漫画文庫[全8巻]
ストーリー  大手家電メーカー初芝電産の係長島耕作は、34歳にして昇進の辞令を受ける。課長となった島は本社から米国本社、京都など様々な土地で宣伝畑を渡り歩く。その土地土地では社内外の大物のほか、とびきりの美人とも接するようになるうち、次第に社の中枢に関わっていくのだが……。
設 定  全体的に論理的というか、理屈っぽい。経済から経営、国際関係まで作者の知識がふんだんに生かされているが、それがやや固すぎるイメージにもなりかねない部分もある。「論理的に正しいものが勝つ」と言ったやや美意識が偏重している向きもあり、それが良くも悪くも作品のカラーになった。
 逆に初芝電産内の人間関係はシュミレーションゲームのように複雑でカオス的な状態になっている。使い捨てのキャラクターもいるが、全体的には非常に多数のキャラクターを登場させてそれを変幻自在に駆使している。人間ドラマにおいてこのような情況設定のリアリティとキャラクターの多様性は不可欠だろうし、それをまとめ上げる手腕には敬意を表したい。
シナリオ  シナリオと同様整合性が出てくるのは中盤以降。福田の復帰、典子の再登場などは上手くはまっているし、中沢の存在も上手くストーリーを盛り上げた。総合宣伝課での島の部下たちなどは中でもウィットにとんでいて、なかなか魅力的だ。
 だがやはりこの作品の最も特徴的なところは、タイトルに一キャラクターの名前を持ってきているほど、主人公島の個性が強烈なことだろう。基本的に彼が全てを「運」で乗り切っていくところと無条件で女にもてるところは変わらないが、初期の勇気のなさは後半では見られないし、論理的な発言も後発的なものだ。性格はそれなりに変わっていっているのだがあまり矛盾を感じないのはキャラクターメイキングとストーリーの上手さゆえなのだろう。
キャラクター  シナリオと同様整合性が出てくるのは中盤以降。福田の復帰、典子の再登場などは上手くはまっているし、中沢の存在も上手くストーリーを盛り上げた。総合宣伝課での島の部下たちなどは中でもウィットにとんでいて、なかなか魅力的だ。
 だがやはりこの作品の最も特徴的なところは、タイトルに一キャラクターの名前を持ってきているほど、主人公島の個性が強烈なことだろう。基本的に彼が全てを「運」で乗り切っていくところと無条件で女にもてるところは変わらないが、初期の勇気のなさは後半では見られないし、論理的な発言も後発的なものだ。性格はそれなりに変わっていっているのだがあまり矛盾を感じないのはキャラクターメイキングとストーリーの上手さゆえなのだろう。
グラフィック  ストーリー重視の劇画成人マンガらしくグラフィックに対する工夫は少ない。同じ構図の繰り返しであったり背景が単調であったりするのはまあ仕方ないが、ト書きの多用は見ていて辛い。後半は絵で補えない説明書き(本当は絵で表現して欲しいのだが)なのでまだ耐えられるが、初期は深層心理まで字で表現されている。
 それでもさすがと思わせる表現方法が無いわけではない。女性の描き分けは見事なものだし、昔の姿を描くのにシルエットを使いあえて想像に任せる所などは心憎いばかりだ。劇画であっても比較的抵抗感を感じない絵柄や丁寧な描線はありがたいし、それでいて劇画特有の迫力感や緊迫感を失わないのはさすがだ。
装 丁  良くも悪くもない、至って普通の装丁だ。背面と裏表紙の緑色がとにかく映えて目立つのだが、特に個性のあるタイトルデザインでもないし、表紙もただただ島が移っているのみ。島の描き方の変遷が表紙でわかるくらいで、特に印象に残ることもない。