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動物のお医者さん (1999.8.18)〔w〕 |
| 作 者 |
佐々木倫子 |
| 連 載 |
白泉社『花とゆめ』 |
| 単行本 |
白泉社花とゆめコミックス[全12巻]
白泉社文庫[全8巻] |
| ストーリー |
ハムテル(キミテル)こと西根公輝が友人二階堂やペットたちと繰り広げる物語。高校生だった二人の前にあらわれた漆原教授はちょっと怖い顔をした仔犬をハムテルに押しつけ「キミは将来獣医になる」と予言する。チョビと命名された仔犬は西根家の他のペットとともにだんだんと大きくなっていく。 |
| 設 定 |
「獣医」をモチーフにした漫画はあったかも知れないが、「獣医学部の学生」という、漫画の題材としては非常にマイナーな存在をモチーフにしたのは、後にも先にもこれだけではないかと思う。そういった意味での新しさや、多彩な登場動物に個性をもたせる緻密さがヒットの大きな要因であると考えられる。さらに般若のように怖い顔を「かわいい」といわせてしまう特殊な世界を何の破綻もなく存在させるとともに、言葉では表現しづらい微妙なニュアンスでコミカルな雰囲気を作り上げている。
しかしどうやら一部の人にとっては「難しい」らしい。取材の成果あって、獣医学に関する内容もなかなかリアリティ溢れるものになっているが、どうやらそんな部分が難解で面倒くさいものになってしまっているようなのだ。普段恋愛のゴタゴタを主体とした、比較的エンターテイメント的要素の強い少女マンガに読み慣れている人にとっては、この作品は異質なものだろうし、抵抗があるのかもしれない。だが、できれば第一印象だけでこの作品を判断していただきたくない。中身の深い作品は良いところを見出すのに時間がかかるものだし、この作品に早々と見切りをつけてしまうのはあまりにも勿体ないと思う。 |
| シナリオ |
一話ごとのオムニバススタイルなので当然コメディ要素が強くなっている。シナリオとしてのトータルの評価は難しいところだが、大学(院を含めて)での生活を描くというスタイルを最後まで崩さなかったことは良かったのではないかと思う。下手に「その後」を描いてしまうと失敗する恐れがあるし、曖昧な終わり方の方がポップなイメージを残すことができる。 |
| キャラクター |
個性の強いキャラクターは多い。漆原教授や菱沼さんをはじめハムテルや二階堂の身内など変わった人々が多いのも確かだが、平凡なキャラクターでも味が出るように上手く演出されている。動物キャラクターたちも人間と同じように実に特徴的で、ハムテルの家だけでも相当の逸材がそろっている。大人しいチョビ、わがままなミケ、乱暴なヒヨちゃんなどはもちろんスナネズミたちも相当面白い。犬ぞりチームのメンバーも学校に出入りする動物たちもリアリティたっぷりに描かれていて飽きることがない。 |
| グラフィック |
ネームが最も印象的。特に吹き出しの外の手書きネームが実に効果的に使用されている。基本的には2パターンで一つは普通の細線、もう一つが活字を手書きしたような独特のフォントで、主に人間のセリフや補足は前者、動物たちのセリフ(?)や擬音が後者で表現されている。
人物の描き方も特徴的だ。陰影にトーンを使わず斜線のみで表現するというおよそ少女マンガらしくない手法や髪はほとんどがベタか白という部分には特に注目してみたい。様々な種類の動物が綺麗に描かれており好感が持てるのだが、きっと背景の部分ではアシスタントの皆さんが大活躍しているんだろうなあと感じてしまった。 |
| 装 丁 |
白泉社に限らず少女マンガの単行本はどの作品も基本的に似たり寄ったりの装丁なので評価はしづらいのだが、カバーを外してしまうとなんとも貧相なのが残念と云えば残念。表拍子はチョビ・ミケ・ヒヨちゃんなど西根家のペットで固められている。 |